労務情報Blog

人事・労務・社会保険・労働保険・ 福利厚生・雇用・賃金など人事労務担当者の情報掲示板

イオン警備会社に是正勧告 違法残業、月100時間超

 イオングループの警備会社で、全国で事業を展開する「イオンディライトセキュリティ」(大阪市)が、東京都内の5カ所の警備現場で違法な長時間労働をさせたとして、労働基準監督署が同社に是正勧告していたことが分かった。勧告対象の現場の社員は、7月時点で計44人。過労死ラインとされる月100時間を超える残業を繰り返していたという。勧告は9月29日付。

 警備業界では深刻な人手不足のため、長時間労働が常態化している企業が後を絶たない。7月にも全国展開する警備会社「コアズ」(名古屋市)が、残業代未払いで仙台労基署から是正勧告を受けたことが発覚しており、改めて過重労働の実態が浮き彫りになった。

 今回の勧告対象になった社員の一部が加入する労働組合「プレカリアートユニオン」(東京)によると、同社の労使協定(三六協定)では残業の上限は最長月60時間などとされているが、組合員の社員の中には毎月のように100時間を超えていた人もいた。




遺族年金、18億円過払い 検査院指摘へ

1万人抽出調査 資格喪失1000人に

 厚生年金などに加入していた夫を亡くした妻らを対象に日本年金機構が支給する遺族年金について、会計検査院がサンプル調査したところ、再婚などで受給資格を失った1000人弱に支払いを続けていたことが関係者への取材で分かった。今春までの過払い額は計約18億円に上るが、うち約8億円は5年の消滅時効を迎えており、返還請求手続きを取ることができない状態にある。

毎日新聞2017年10月11日 08時30分(最終更新 10月11日 10時31分)

※遺族となった妻または夫が再婚したときは、例外なく遺族年金(遺族基礎年金、遺族厚生年金)は失権となります。しかし、親の再婚が原因で子が失権することはありません。

併給調整が不適切=傷病手当金と障害厚生年金−検査院

 同一の病気やけがで、全国健康保険協会の傷病手当金と厚生年金保険の障害厚生年金の両方を受けられる被保険者に対し、手当金を支給しないか減額する「併給調整」が一部で適切に行われていないことが11日、会計検査院の調べで分かった。検査院は協会に改善を求めた。
 2013〜15年度に、協会の33都道府県の支部が傷病手当金の支給を決定した1万2679人を対象に検査。この中で、障害厚生年金の裁定(厚生労働相による受給権の確認)がされていた1783人のうち、15都府県の支部の31人は傷病手当金の併給調整が適切に行われていなかった。31人については、09〜16年度の支給分で計約1761万円の返還を求める必要があったとしている。
 協会は毎月、過去1年間の傷病手当金の申請者に関する障害厚生年金の支給開始日や額などの情報を日本年金機構に照会して提供を受け、併給調整の要否を判断している。しかし、31人は傷病手当金の申請から1年を超えた時期に障害厚生年金の裁定がされたため、手当金と年金が併給されていたことを協会は把握していなかった。
  

平成29年版 労働経済の分析

●雇用情勢は改善を続けており、失業率の低下・求人倍率の上昇は継続
 完全失業率と有効求人倍率等の推移をみていくと、完全失業率は2009 年6月を山として低下を続けており、2017 年2月には 2.8%と 1994 年6月以来 22 年8か月ぶりの低い水準に改善した。2016 年度の動きを詳細にみていくと、2016 年1月から5月まで 3.2%のまま横ばいで推移した後、同年6月から 2017 年1月まで 3.0〜3.1%の間で推移し、2017 年2月には 2.8%まで低下した。

 一方、有効求人倍率は 2009 年8月を谷として上昇を続けており、2017 年3月には 1.45 倍と1990 年 11 月以来 26 年4か月ぶりの高い水準となった。また、新規求人倍率は 2016 年 12 月には 2.19 倍と 1973 年 11 月以来 43 年1か月ぶりの高い水準となったほか、正社員の有効求人倍率は 2017 年3月に 0.94 倍となり、統計を取り始めた 2004 年 11 月以降、過去最高の水準となった。2016 年度の動きを詳細にみていくと、有効求人倍率は 2016 年4月の 1.33 倍から上昇を続けており、2017 年3月には前年から 0.14 ポイント上昇して 1.45 倍となった。新規求人倍率については、同年7月の 2.03 倍から同年 12 月まで上昇を続けて 2.19 倍となった後、2017年1月以降は低下して2月には 2.12 倍となったが、3月は 2.13 倍と引き続き高い水準となっている。

過労死等防止対策白書

労働者1人当たりの年間総実労働時間は、平成5年にかけて大きく減少し、その後も緩やかに減少している。平成 27 年は前年比7時間の減少となっており、3年連続で減少している。
総実労働時間を所定内労働時間、所定外労働時間の別にみると、所定内労働時間は長期的に減少傾向が続いている一方、所定外労働時間は、過去 20 年程度、増減を繰り返しつつ、おおむね年間 110〜130 時間の間を推移している。

一般労働者とパートタイム労働者の別にみると、一般労働者の総実労働時間は 2,000 時間前後で高止まりしている一方、パートタイム労働者の総実労働時間は横ばいから微減で推移している。一方、パートタイム労働者の割合は、近年、増加傾向にあることから、近年の労働者1人当たりの年間総実労働時間の減少は、パートタイム労働者の割合の増加によるものと考えられる。

企業を対象とした調査において、平均的な月における正規雇用従業員(フルタイム)1人当たりの月間時間外労働時間を業種別にみると、月 45 時間超と回答した企業の割合が最も多いのは、「運輸業,郵便業」(14.0%)となっている。
また、月 20 時間超と回答した企業の割合についてみると、「運輸業,郵便業」(54.7%)、「情報通信業」(53.7%)、「建設業」(48.7%)の順に多くなっている。

次に1年間のうち1か月の時間外労働時間が最も長かった正規雇用従業員(フルタイム)の月間時間外労働時間の企業の割合について、月 80 時間超えと回答した企業の割合は、全体で 22.7%、業種別にみると「情報通信業」(44.4%)「学術研究,専門・技術サービス業」(40.5%)「運輸業,郵便業」(38.4%)の順に多くなっている。

企業調査において、所定外労働が必要となる理由をみると、「顧客(消費者)からの不規則な要望に対応する必要があるため」、「業務量が多いため」、「仕事の繁閑の差が大きいため」、「人員が不足しているため」を挙げる企業が多い。

一方、労働者(正社員(フルタイム))調査において、所定外労働が必要となる理由をみると、「人員が足りないため(仕事量が多いため)」、「予定外の仕事が突発的に発生するため」、「業務の繁閑が激しいため」を挙げる労働者が多い。



現金給与総額、前年同月比0.9%増

(前年同月と比較して)
・現金給与総額は、一般労働者が0.7%増、パートタイム労働者が0.4%増、パートタイム労働者比率が0.20ポイント低下し、就業形態計では0.9%増となった。
なお、一般労働者の所定内給与は0.4%増、パートタイム労働者の時間当たり給与は2.0%増となった。
・就業形態計の所定外労働時間は0.6%増となった。
・就業形態計の常用雇用は2.5%増となった。

毎月勤労統計調査 平成29年8月分結果速報

労働者派遣事業者の処分

 ‘団蠻標元事業主に対する「労働者派遣事業停止命令及び同事業改善命令」(2017年8月28日付:大阪労働局)

 常時雇用される労働者のみを派遣することができる特定労働者派遣事業を営んでいるにもかかわらず、常時雇用される労働者以外の労働者(雇入れから在留期間満了日までが1 年以内の外国人労働者)を派遣していた。(特定労働者派遣事業で派遣できるのは常時雇用される労働者のみ)
また、本店のみを特定労働者派遣事業を行う事業所として届出ていたにもかかわらず、届出を行っていない2つの事業所においても労働者派遣事業を行っていた。
1.【被処分特定派遣元事業主】株式会社ランディック(所在地:大阪市中央区)
2.【処分内容】・労働者派遣事業停止命令(平成29年8月29日から同年10月28日まで)改正労働者派遣法附則第6条第5項・労働者派遣事業改善命令 労働者派遣法第49条第1項


◆‘鷭吐標を行っていた派遣元事業主に「労働者派遣事業改善命令」(2017年8月9日付:沖縄労働局)

 派遣元(3社)と業務委託と称した契約により受け入れた派遣労働者を供給先A社へ供給し、A社の指揮命令の下業務へ従事させ、延べ492人日に亘り、いわゆる違法な“二重派遣”を行っていた。
1.【被処分派遣元事業主】株式会社シー・アール・シー (所在地:愛知県名古屋市)
2.【処分内容】労働者派遣事業改善命令 派遣法第49条第1項


 多重派遣先の特定派遣元事業主によるIT企業への労働者供給で「労働者派遣事業停止命令及び同改善命令(2017年7月18日付:東京労働局)

 (1)株式会社レーベンは、A社と業務委託契約と称する契約(準委任契約・出向契約)を締結し、平成25年7月1日〜平成28年12月31日までの間、労働者9名(2,068人日)を派遣し、A社の指揮命令の下、業務に従事させた。しかし、株式会社レーベンがA社に派遣した労働者は、株式会社レーベンが雇用する労働者ではなく、他社が雇用する労働者を業務委託と称する契約(準委任契約・出向契約)により受け入れていたものであり、これらの企業の間で所謂「多重派遣」が行われていた。
(2)株式会社WiZは、平成26年1月6日〜平成28年9月30日までの間、株式会社レーベンと業務委託契約と称する契約(準委任契約・出向契約)を締結し、労働者4名(1,183人日)を株式会社レーベンに派遣し、A社の指揮命令の下、業務に従事させた。しかし、株式会社WiZが株式会社レーベンに派遣した労働者の内2名は、株式会社WiZが直接雇用する労働者ではなく、他社が雇用する労働者を業務委託と称する契約(準委任契約・出向契約)により受け入れていたものであり、これらの企業の間で所謂「多重派遣」が行われていた。また、株式会社WiZは、自己の雇用する労働者2名を株式会社レーベンに派遣し違法な労働者派遣の役務の提供を行われていた。
1.【被処分派遣元事業主】株式会社レーベン(所在地:東京都豊島区)・株式会社WiZ(所在地:東京都港区)
2.【処分内容】株式会社レーベンに対し、改正労働者派遣法附則第6条第5項に基づく「労働者派遣事業停止命令」及び労働者派遣法第49条第1項に基づく「労働者派遣事業改善命令」・株式会社WiZに対し、労働者派遣法第49条第1項に基づく「労働者派遣事業改善命令」

時間外労働の上限規制、平成36年より適用除外対象も原則適用

 働き方改革実行計画(案)では、「時間外労働の上限規制」(※3)について、現行で限度時間の適用除外とされている業種も平成31年4月1日の改正法施行から5年後の平成36年以降、段階的に適用を目指す方向となっています。

限度時間の適用除外業種
(1) 自動車の運転業務
(2) 建設事業
(3) 新技術、新商品等の研究開発の業務
(4) 厚生労働省労働基準局長が指定する業務
(5) 医師

(1) 自動車の運転業務
・ 罰則付きの時間外労働規制の適用除外とせず、
1.改正法の一般則の施行期日の5年後に、960 時間以内の規制を適用する
2.将来的には一般則の適用を目指す旨の規定を設ける
・ 時間外労働の上限の原則である「月45時間、かつ、年360 時間」の実現に向けた努力をする
・ 荷主を含めた関係者で構成する協議会で労働時間の短縮策を検討するなど、長時間労働を是正するための環境整備を強化する

(2) 建設事業
・ 罰則付きの時間外労働規制の適用除外とせず、改正法の一般則の施行期日の5年後に罰則付き上限規制の一般則を適用する
・ 時間外労働の上限の原則である「月45時間、かつ、年360 時間」の実現に向けた努力をする
・ 発注者を含めた関係者で構成する協議会を設置するなど、必要な環境整備を進めるとともに、労働時間の段階的な短縮に向けた取組を強化する

(3) 新技術、新商品等の研究開発の業務
・ 専門的、科学的な知識、技術を有する者が従事する新技術、新商品等の研究開発の業務の特殊性を鑑み、現行制度で対象となっている範囲を超えた職種に拡大することのないよう、その対象を明確化した上で適用除外とする
・ 労働者の健康確保措置として、1週間当たり40時間を超えて労働させた場合のその超えた時間が1か月当たり100時間を超えた者に対し、医師による面接指導の実施を労働安全衛生法上義務づける

(4) 厚生労働省労働基準局長が指定する業務
(季節的要因等により事業活動若しくは業務量の変動が著しい事業(※1)若しくは業務又は公益上の必要により集中的な作業が必要とされる業務(※2)として 厚生労働省労働基準局長が指定するもの)
・ 原則として罰則付き上限規制の一般則を適用する
・ ただし、業務の特殊性から直ちに適用することが難しいものについては、その猶予について更に検討する

(5) 医師
・ 改正法の施行期日の5年後を目途に規制を適用する
・ 医療界の参加の下で検討の場を設け、質の高い新たな医療と医療現場の新たな働き方の実現を目指し、2年後を目途に規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等について検討し、結論を得る。

※1 季節的要因等により事業活動若しくは業務量の変動が著しい事業又は業務鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業(砂糖精製業を除く。)
造船事業における船舶の改造又は修繕に関する業務
郵政事業の年末・年始における業務
都道府県労働局長が厚生労働省労働基準局長の承認を得て地域を限って指定する事業又は業務

※2 公益上の必要により集中的な作業が必要とされる業務
電気事業における発電用原子炉及びその附属設備の定期検査並びにそれに伴う電気工作物の工事に関する業務
ガス事業におけるガス製造設備の工事に関する業務

※3 上限は原則として月45時間、かつ、年360時間(1年単位の変形労働時間制の場合、月42時間、かつ、年320時間)とすることが適当である。
上記を原則としつつ、特例として、臨時的な特別の事情がある場合として、労使が合意して労使協定を結ぶ場合においても上回ることができない時間外労働時間を年 720 時間と規定することが適当である。
かつ、年 720 時間以内において、一時的に事務量が増加する場合について、最低限、上回ることのできない上限として、
休日労働を含み、2か月ないし6か月平均で 80 時間以内
休日労働を含み、単月で 100 時間未満
原則である月 45 時間(一年単位の変形労働時間制の場合は 42 時間)の時間外
労働を上回る回数は、年6回まで
とすることが適当である。


建設業界が「働き方改革」で重視している項目

重要度に合わせ、「A」「B」「C」のランクが付け
A:推進の具体策や施策展開を日建連が定め、会員企業あげてすべき事項
B:日建連が示す方向性に従い、それぞれの会員企業が取り組むべき事項
C:会員企業がそれぞれの展開として独自に取り組むべき事項

1.長時間労働の是正等
(1)週休二日の推進:A
(2)総労働時間の削減:A
(3)有給休暇の取得促進:C
(4)柔軟な働き方がしやすい環境整備:C
(5)勤務間インターバル制 :C
(6)メンタルヘス対策、パワーハラスメント対策や病気の治療と仕事両立へ対策:C

2.建設技能者の処遇改善
(1)賃金水準の向上:A
(2)社会保険加入促進:A
(3)建退共制度の適用促進:B
(4)雇用の安定(社員化):B
(5)重層下請構造の改善:B

3.生産性の向上:A

4.下請取引の改善:A

5.けんせつ小町の活躍推進
(1)現場環境の整備:A
(2)女性の登用:A

6.子育て・介護と仕事の両立
(1)育児休暇・介護休暇の取得促進:C
(2)現場管理の弾力化:C

7.建設技能者のキャリアップの促進
(1)建設キャリアアップシステムの活用:A
(2)技能者の技術者への登用 :C

8.同一労働同一賃金など:C

9.多様な人材の活用
(1)外国人材の受入れ:C
(2)高齢者の就業促進:C
(3)障害者雇用の促進:C

10.その他
(1)職種別、季節別の平準化の検討:C
(2)適正な受注活動の徹底:A
(3)官民の発注者への協力要請 :A

8月の有効求人倍率は1.52倍

    ○平成29年8月の有効求人倍率は1.52倍で、前月と同じ水準。
    ○平成29年8月の新規求人倍率は2.21倍で、前月に比べて0.06ポイント低下。
   ○平成29年8月の正社員有効求人倍率は1.01倍で、前月と同水準。
   ○平成29年8月の有効求人は前月に比べ0.5%増で、有効求職者は前月に比べ0.5%増。
 

8月の完全失業率は2.8%

 (1) 就業者数,雇用者数
   就業者数は6573万人。前年同月に比べ84万人の増加。56か月連続の増加
   雇用者数は5840万人。前年同月に比べ97万人の増加。56か月連続の増加
 (2) 完全失業者
   完全失業者数は189万人。前年同月に比べ23万人の減少。87か月連続の減少
 (3) 完全失業率
   完全失業率(季節調整値)は2.8%。前月と同率


定額残業手当は労働契約締結時に基本給と割増賃金相当額を明確に区別必要

鳥伸事件 大阪高判平成29.3.3 労働判例1155号

 定額の手当が時間外等割増賃金の代替と認められるためには、労働契約締結時において基本給と割増賃金相当額が明確に区別される必要があり、給与明細により事後的に内訳が明示されても定額の手当を時間外等割増賃金の代替と認められないとした例

事件の概要
 原告は、鶏肉の加⼯、販売および飲食店の経営を行う有限会社の従業員で、給与の月額は基本給18万8000円、残業手当が6万2000円であったが、雇用契約書には、「月給250,000円−残業含む。」とのみ記載されていた。原告は退職後、上記の基本給および残業手当の合計額を基礎として割増賃金の支払い等を求めた。

裁判所の判断
…螻曚亮蠹が労働基準法37条所定の時間外等割増賃⾦ の代替として認められるためには、少なくとも、(1)その旨が労働契約の内容になっており、かつ(2)定額の手当が通常の労働時間の賃金と明確に判別できることが必要になる。そして、労働者にとって、その条件で労働契約を締結するか否かの判断に極めて重要な事項であるから、定額の手当を割増賃金の代替とすることが労働契約の内容となったというためには、労働契約締結時に個別の労働契約や就業規則によって通常の労働時間の賃金額と時間外等割増賃金の代替額が明確にされている必要がある。
給与総額に含まれる残業手当の額の明確性について、労働契約締結時に基本給の額(18万8000円)と時間外等割増賃金に相当する額(6万2000円)が明確にされていたことを根拠づける資料として、雇用契約書、賃金規程および給与明細書等が挙げられている。しかし、雇用契約書にも求人広告にも、給与として「月給250,000円−残業代含む」と総額が記載されていたのみであった。
就業規則、求人広告及び雇用契約書では、基本給の額と残業手当の額の区別が明確にされていたとは認められないし、労働契約時において給与総額のうちに何時間分の割増賃金代替手当が含まれているかが明確にされていたとも認められないから、本件の残業手当の支払をもって、時間外労働割増賃金の代替としての支払と認めることはできない。

※今年出された 固定残業代に関する2件の最高裁判決(国際自動車事件 最三小判 平29.2.28 労判1152号5頁、医療法人Y事件 最⼆小判 平29.7.7 労旬1893号56頁)においては、雇用契約における明確区分性のみが要件とされており、固定残業代等を時間外等割増賃金の代替とするための要件としては雇用契約における明確区分性をもって足りるとの考え方が確定されつつある。ただし、より確実な推認要素として、支給時において基本給部分と割増賃金代替部分が明確に区別された上で労働者に明示され、かつ割増賃金代替部分を超える労働時間について超過分の割増賃金が支払われているという実績が存在することは⼀定の重要性を有する。

労使協定結ばず辺野古基金への寄付を給料天引き 労基法違反の疑い

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古移設阻止をめぐって翁長雄志知事を支える「オール沖縄」勢力の中核企業、金秀(かねひで)グループ(那覇市、呉屋守将(ごやもりまさ)会長)が7月から、移設阻止を目的とした「辺野古基金」への寄付金を、従業員から給料天引きで集めていることが分かった。同社は「対象は賛同者のみ」としているが、労働基準法が賃金控除にあたって義務付けている「労使協定」を締結しておらず、労基法違反の疑いが浮上している。

 関係者によると呉屋会長は7月3日付で、金秀グループの全従業員に対し「ワンコイン寄付のお願い」と題する通知を出し、辺野古移設反対活動を支えるために辺野古基金への継続的な寄付への協力を要請。100円を一口として寄付金額(口数)を記入した「申込書」を、所管の金秀本社総務部に提出した従業員については、その額を毎月の給料から控除するとした。

 「ワンコイン寄付」について金秀本社総務部は産経新聞の取材に対し「来年3月末までの期間限定。ほぼ半数の従業員が賛同して申込書を提出し7月に支払った給料から開始した。寄付は任意であり、申し込み者の氏名や金額、人数などの個人情報は社内で一切伏せている」としている。

 労働基準法24条では、使用者が賃金を従業員に全額支払うことを原則とするが、例外として所得税、住民税、社会保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、介護保険料など「法令に別段の定めがある場合」に賃金からの控除を認めている。

 それ以外は「事理明白なもの」に限って賃金控除の対象として、使用者が(1)労働組合(2)労働者の過半数を代表する者のいずれかと書面で「労使協定」を締結することを規定している。

 金秀本社総務部は取材に「金秀グループ各社に労組はなく、今回は労働者の過半数の代表者とも労使協定は結んでいない。賛同する従業員が個々に給料からの控除を了承して寄付に応じており、問題はないと判断した」と説明した。

 これに対し沖縄労働局は「形式的に労基法24条に違反している」(監督課)と断言する。現に労基法違反が確認されれば行政指導などの対象になるという。


海外法人悪用し社会保険料逃れ

海外法人悪用し保険料逃れ 都内のタクシー会社 数千万円追徴 

 東京都内のタクシー会社が香港に設立したダミー会社を悪用し、厚生年金保険料を低く抑えていたことが25日、厚生労働省への取材で分かった。同省はさかのぼって数千万円の保険料徴収を求めるとともに、同様の事例が全国にあるとみて、日本年金機構に疑いのある事業所への調査徹底を指示した。

 厚労省によると、タクシー会社の事業主は、香港に別法人を設立。従業員は都内の会社に採用された後、香港の会社に転籍。そこから都内の会社に出向している形をとり、両方の会社から給与が支払われていた。

 従業員は香港の会社での勤務実態はなく、厚生年金が適用される都内の会社から支払われた給与は、職種や勤続年数にかかわらず一律15万円程度と、給与額に応じて納める保険料が著しく低く抑えられる“保険料逃れ”の状態だった。

 厚労省は、同社と従業員は、香港の会社から支払われた給与の分の保険料も納める必要があると判断。さかのぼって徴収できる2年分の保険料を支払うよう求めた。同社は指摘に応じて保険料を分割納付しており「(保険料逃れの方法は)社会保険労務士に提案された」と話しているという。

 今回の事案を受けて厚労省は、8月末に日本年金機構に対し調査を徹底するよう通知。厚生年金が適用される会社と海外の別会社の双方から給与が支払われている場合で、国内で支払う給与が地域の同業他社より著しく下回るケースなどは、会社に立ち入り調査するよう求めている。〔共同〕



契約社員と正社員との労働条件の相違

メトロコマース事件(東京地判 平成29.3.23)

 契約社員と正社員の労働条件の相違が労働契約法20条に違反するとして、契約社員が不法行為に基づく損害賠償を請求した事案で、請求を一部容認して、早出残業手当の割増率のみを認めた例

事実の概要
 原告は、有期契約社員として地下鉄駅構内の売店での販売業務に従事する者である。
売店業務に従事する正社員は、売店以外の各部署で多様な業務に従事し、複数の売店を統括するエリアマネージャーを務めることもあり、配転・出向は拒否できない。
有期契約社員は、売店間での配置換えはありうるが売店以外の業務には従事しない。またエリアマネージャーを務めることはなく、配転・出向を命じられることもない。

判旨
 労契法20条は労働条件の相違に合理的な理由があることまでは要求しない、それが不合理とまでは断定できない場合には同条違反とならない。
 正社員と契約社員の間には、業務の内容及びその業務に伴う責任の程度に大きな相違があり、また、職務の内容及び配置の変更の範囲についても明らかな相違がある。
1、本給・資格手当・・・長期雇用前提の正社員には年功的な賃金制度、短期雇用前提の有期契約労働者にはこれと異なる賃金体系という制度設計は企業の人事施策として一定の合理性がある。
2、住宅手当・・・正社員は転居を伴う配置転換や出向が予定され、契約社員よりも住宅コストの増大が見込まれる。正社員に対する福利厚生としての性格が強く、これを手厚くし有為な人材の獲得・定着を図るという人事施策上相応の合理性を有する。
3、賞与・・・賞与は労働の対価であるだけでなく功労報償的な性格や将来の労働への意欲向上としての意味も持ち、有為な人材の獲得・定着を図るという人事施策上相応の合理性を有する。
4、退職金・・・退職金に賃金後払的性格だけでなく功労報償的性格もあることに照らすと、長期雇用前提の正社員にのみ退職金を支給するという施策は人事施策上一定の合理性を有する。
5、永年勤労褒賞・・・永年勤続による貢献に対する特別な褒賞であるから、短期雇用が想定される契約社員に支給しないことが不合理とまではいえない。
6、早出残業手当・・・使用者は正社員、有期社員を問わず、等しく割増賃金を支払うのが相当であり、このことは法定の割増率を上回る割増賃金を支払う場合にも妥当する。正社員にのみ割増率の高い割増賃金を支払うことには合理的な理由をにわかに見いだし難い。労基法37条の趣旨に鑑みると早出残業手当の相違は不合理である。

パートタイム労働者実態調査

平成28年パートタイム労働者総合実態調査の概況

1 就業形態別就労状況 
(1) 就業形態別労働者を雇用している事業所の割合
平成 28 年 10 月1日現在で、「パートを雇用している事業所」の割合は 68.8%、「正社員とパートの両方を雇用している事業所」の割合は 64.0%、「正社員のみ雇用している事業所」の割合は 20.5%となっている。
これを産業別にみると、「パートを雇用している事業所」は「宿泊業,飲食サービス業」が 95.5%と最も高い割合となっており、次いで「医療,福祉」90.6%、「教育,学習支援業」85.9%の順となっている。

(2) 就業形態別労働者の割合
平成 28年 10月1日現在の正社員以外の労働者割合は 37.2%、うちパートの労働者割合は27.4%となっている。
これを男女別にみると、男では「正社員以外の労働者」は 22.6%、うち「パート」は 13.0%、女では「正社員以外の労働者」は 55.0%、うち「パート」は 44.9%となっている。
また、各就業形態の性別の割合をみると、「パート」は男が 25.9%、女が 74.1%となっている。

2 正社員とパートの両方を雇用している事業所における状況
(1) パートを雇用する理由
正社員とパートの両方を雇用している事業所について、パートを雇用する理由(複数回答)をみると、「1日の忙しい時間帯に対処するため」が 41.6%と最も高い割合となっており、次いで「人件費が割安なため(労務コストの効率化)」41.3%、「仕事内容が簡単なため」36.0%の順となっている。

(2) 雇用管理の状況
ア 雇用期間
正社員とパートの両方を雇用している事業所のうち、パートの労働契約の中での「期間の定め有り」事業所は 54.6%、「期間の定め無し」事業所は 45.4%となっている。

(5) 正社員と職務が同じパート等の状況
正社員とパートの両方を雇用している事業所のうち、正社員と職務が同じパートのいる事業所の割合は 15.7%となっている。

(6) 正社員と職務が同じパートの雇用管理の状況
 ア 基本賃金等の支払状況
基本賃金(基本給)
正社員と職務が同じパートについて、基本賃金の支払状況を正社員と比べてみると、「正社員と同様の算定方法(制度・基準)に基づいている」が 16.2%、「正社員の算定方法(制度・基準)とは異なる」が 58.7%となっている。


労災報告怠って会社と作業所長を書類送検

1年以上労災の報告怠る トンネル工事業者を送検 釜石労基署

 岩手・釜石労働基準監督署は、休業4日以上の労働災害が発生したにもかかわらず、遅滞なく労働者死傷病報告書を提出しなかったとして、トンネル工事を中心とする土木工事業を営む横山工業(岐阜県可児市)と同社作業所長を労働安全衛生法第100条(報告等)違反の容疑で盛岡地検遠野支部に書類送検した。平成28年2月、同社労働者が2カ月以上休業する労働災害が発生していた。

 被災者は釜石市内のトンネル工事現場で、トラックミキサー車を洗車していた際に肋骨骨折、頚椎捻挫などの怪我を負い休業していた。

 同労基署が、情報提供に基づき調査を開始したところ労災の事実が明らかになっている。「社内外の評価を恐れた。怪我の程度も軽いと判断した」などと報告を怠った理由について話しているという。
【平成29年9月8日送検】


タイムカード一斉打刻を黙認で会社と支店長を書類送検

タイムカードを一斉に打刻させる 残業代未払いでトヨタカローラ北越を書類送検
  
 新潟・長岡労働基準監督署は、労働者に時間外労働させたにもかかわらず、時間外手当(残業代)を支払わなかったとして自動車販売・整備業のトヨタカローラ北越(新潟県長岡市)と同社長岡要町店支店長を労働基準法第37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)違反の容疑で新潟地検長岡市部に書類送検した。

 同社は平成27年8〜11月の4カ月間、同支店営業社員14人に対して残業代の一部を支払わなかった。不払い残業代の合計金額は225万6010円。

 送検された支店長は、勤怠管理者が営業社員に対して17〜18時になると強制的にタイムカードを押させていたことを黙認していた。その結果、タイムカード打刻後の残業や早出が常態化し、いわゆるサービス残業状態となっていたものとみられる。

 労働者からの相談により残業代不払いが発覚した。同社は当初「タイムカードに基づいて残業代を支払っている」と供述していたが、調査の過程で実際の労働時間とかけ離れていることが明らかになった。

【平成28年4月20日送検】


「働き方改革法律案要綱」の答申

(1) 労働時間に関する制度の見直し(労働基準法)
・時間外労働の上限について、月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)複数月平均80時間(休日労働含む)を限度に設定。

※自動車運転業務、建設事業、医師等について、猶予期間を設けた上で規制を適用等の例外あり。研究開発業務について、医師の面接指導、代替休暇の付与等の健康確保措置を設けた上で、時間外労働の上限規制は適用しない。

・月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)について、中小企業への猶予措置を廃止する(中小企業における割増賃金率の見直しは平成34年4月1日)。

また、使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日について、毎年、時季を指定して与えなければならないこととする。

・企画業務型裁量労働制の対象業務への「課題解決型の開発提案業務」と「裁量的にPDCAを回す業務」の追加と、高度プロフェッショナル制度の創設等を行う。(企画業務型裁量労働制の業務範囲を明確化・高度プロフェッショナル制度における健康確保措置を強化)

(2) 勤務間インターバル制度の普及促進等(労働時間等設定改善法)
・事業主は、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息の確保に努めなければならないこととする。

(3) 産業医・産業保健機能の強化(労働安全衛生法等)    
・事業者から、産業医に対しその業務を適切に行うために必要な情報を提供することとするなど、産業医・産業保健機能の強化を図る。 


求人票の労働条件が原則として雇用契約の内容となる

デイサービスA社事件(京都地判 平成29.3.30 労働判例ジャーナル64号2頁)

求人票記載の労働条件は原則として雇用契約の内容となるとされた例
求人票の内容と異なる労働条件通知書に署名押印した行為が自由な意思に基づいたものではなく、同意があったと認められないとされた例

事件の概要
 整骨院を営んでいた会社が障がい児童の放課後デイサービス事業を営む会社に管理責任者として雇用した従業員が、自己の労働契約が求人票の記載通り期間の定めのないものであり、また、会社による解雇が無効として、地位確認等を求めた事案。
 
 求人票には、契約期間の定めがなかったところ、その後の労働条件通知書では期間の定めがあるとされており、それに従業員も署名押印していたという事情があった。
このことから、求人票に記載された労働条件が締結された労働契約のそれになるかが論点となった。

裁判所の判断
 求人票は、求人者が労働条件を明示した上で求職者の雇用契約締結の申込みを誘引するもので、求職者は、当然に求職票記載の労働条件が雇用契約の内容となることを前提に雇用契約締結の申込みをするのであるから、求人票記載の労働条件は、当事者間においてこれと異なる別段の合意をするなどの特段の事情のない限り、雇用契約の内容となると解するのが相当である。
 
 原告は、ハローワークで本件求人票を閲覧して被告の面接を受けて採用されたものであるところ、本件求人票には雇用期間の定めはなく、雇用期間の始期は平成26年2月1日とされ、面接でもそれらの点について求人票と異なる旨の話はないまま、被告は原告に採用を通知したのであるから、本件労働契約は、同日を始期とする期間の定めのない契約として成立したものと認められる。

 定年制については、面接では被告代表者から定年制はまだ決めていないという回答がされたものの、本件求人票には定年制なしと記載されていた上、定年制は、その旨の合意をしない限り労働契約の内容とはならないのであるから、求人票の記載と異なり定年制があることを明確にしないまま採用を通知した以上、定年制のない労働契約が成立したと認めるのが相当である。

 使用者が提示した労働条件の変更が賃金や退職金に関するものである場合には、当該変更を受入れる旨の労働者の行為があるとしても、労働者が使用者に使用されてその指揮命令に服すべき立場に置かれており、自らの意思決定の基礎となる情報を収集する能力にも限界があることに照らせば、当該行為をもって直ちに労働者の同意があったものとみるのは相当でなく、当該変更に対する労働者の同意の有無についての判断は慎重にされるべきであり、その同意の有無については、当該行為を受け入れる旨の労働者の行為の有無だけでなく、当該変更により労働者にもたらされる不利益の内容及び程度、労働者により当該行為がされるに至った経緯及びその態様、当該行為に先立つ労働者への情報提供又は説明の内容等に照らして、当該行為が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点からも、判断されるべきものと解するのが相当である(山梨県民信用組合事件 最高裁判所第二小法廷平成28年2月19日判決・民集70巻2号123頁参照)。そして、この理は、賃金や退職金と同様の重要な労働条件の変更についても妥当するものと解するのが相当である。

 本件労働条件通知書は、被告代表者がその主要な内容を相応に説明した上で、原告が承諾するとして署名押印したものであるものの、被告代表者が求人票と異なる労働条件とする旨やその理由を明らかにして説明したとは認められず、他方、被告代表者がそれを提示した時点では、原告は既に従前の就業先を退職して被告での就労を開始しており、これを拒否すると仕事が完全になくなり収入が絶たれると考えて署名押印したと認められる。
 これらの事情からすると、本件労働条件通知書に原告が署名押印した行為は、その自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとは認められないから、それによる労働条件の変更について原告の同意があったと認めることはできない。

 以上によれば、原告と被告との労働契約は、期間の定め及び定年制のないものであると認められるところ、被告は、原告を解雇したこと等の本件労働契約の終了事由を何ら主張立証しないから、本件労働契約は現在もなお継続していると認められる。
 
 
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