2017年08月22日

歩合給から残業手当控除を肯定

タクシー歩合給残業代裁判 (最高裁 平成29.2.28)高裁へ差し戻し

 タクシー乗務員として勤務していた被上告人らが、歩合給の計算に当たり残業手当等に相当する金額を控除する旨を定める上告人の賃金規則上の定めが無効であり、控除された残業手当等に相当する金額の賃金の支払義務を負うと主張して、未払賃金等の支払を求める事案

タクシー乗務員の歩合給から残業手当を控除する計算が公序良俗に反し、無効であると解することはできないとされた例 


裁判所の判断
労働基準法37条は、時間外、休日及び深夜の割増賃金の支払義務を定めているところ、割増賃金の算定方法は、同条並びに政令及び厚生労働省令に具体的に定められている。もっとも、同条は、労働基準法37条等に定められた方法により算定された額を下回らない額の割増賃金を支払うことを義務付けるにとどまり、労働契約における割増賃金の定めを労働基準法37条等に定められた算定方法と同一のものとし、これに基づいて割増賃金を支払うことを義務付けるものとは解されない。

∋藩兌圓、時間外労働等の対価として労働基準法37条の定める割増賃金を支払ったとすることができるか否かを判断するには、労働契約における賃金の定めにつき、それが通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とに判別することができるか否かを検討した上で、そのような判別をすることができる場合に、割増賃金として支払われた金額が、通常の労働時間の賃金に相当する部分の金額を基礎として、労働基準法37条等に定められた方法により算定した割増賃金の額を下回らないか否かを検討すべきであり、上記割増賃金として支払われた金額が労働基準法37条等に定められた方法により算定した割増賃金の額を下回るときは、使用者がその差額を労働者に支払う義務を負うというべきである。

労働基準法37条は、労働契約における通常の労働時間の賃金をどのように定めるかについて特に規定をしていないことに鑑みると、労働契約において売上高等の一定割合に相当する金額から同条に定める割増賃金に相当する額を控除したものを通常の労働時間の賃金とする旨が定められていた場合に、当該定めに基づく割増賃金の支払が同条の定める割増賃金の支払といえるか否かは問題となり得るものの、当該定めが当然に同条の趣旨に反するものとして公序良俗に反し,無効であると解することはできないというべきである。

じ郷海蓮∨楫鏥定のうち歩合給の計算に当たり対象額Aから割増金に相当する額を控除している部分が労働基準法37条の趣旨に反し、公序良俗に反し無効であると判断するのみで、本件賃金規則における賃金の定めにつき、通常の労働時間の賃金に当たる部分と同条の定める割増賃金に当たる部分とを判別することができるか否か、また、そのような判別をすることができる場合に、本件賃金規則に基づいて割増賃金として支払われた金額が労働基準法37条等に定められた方法により算定した割増賃金の額を下回らないか否かについて審理判断することなく、被上告人らの未払賃金の請求を一部認容すべきとしたものである。そうすると、原審の判断には、割増賃金に関する法令の解釈適用を誤った結果、上記の点について審理を尽くさなかった違法があるといわざるを得ない。

ジ郷海蓮∋間外労働等のうち法内時間外労働や法定外休日労働に当たる部分とそれ以外の部分とを区別していない。しかし、労働基準法37条は、使用者に対し、法内時間外労働や法定外休日労働に対する割増賃金を支払う義務を課しておらず、使用者がこのような労働の対価として割増賃金を支払う義務を負うか否かは専ら労働契約の定めに委ねられているものと解されるから、被上告人らに割増賃金として支払われた金額が労働基準法37条等に定められた方法により算定した割増賃金の額を下回らないか否かについて審理判断するに当たっては、被上告人らの時間外労働等のうち法内時間外労働や法定外休日労働に当たる部分とそれ以外の部分とを区別する必要があるというべきである。


原審
 本件規定のうち,歩合給の計算に当たり対象額Aから割増金に相当する額を控除する部分は無効であり、対象額Aから割増金に相当する額を控除することなく歩合給を計算すべきであるとした上で、被上告人らの未払賃金の請求を一部認容すべきものとした。その判断の要旨は,次のとおりである。
(1) 本件賃金規則は,所定労働日と休日のそれぞれについて、揚高から一定の控除額を差し引いたものに一定割合を乗じ、これらを足し合わせたものを対象額Aとした上で、時間外労働等に対し、これを基準として計算した額の割増金を支払うものである。ところが、本件規定は、歩合給の計算に当たり、対象額Aから割増金及び交通費に相当する額を控除するものとしている。これによれば、割増金と交通費の合計額が対象額Aを上回る場合を別にして、揚高が同額である限り、時間外労働等をしていた場合もしていなかった場合も乗務員に支払われる賃金は同額になるから、本件規定は、労働基準法37条の規制を潜脱するものである。同条の規定は強行法規であり、これに反する合意は当然に無効となる上、同条の規定に違反した者には刑事罰が科せられることからすれば、本件規定のうち、歩合給の計算に当たり対象額Aから割増金に相当する額を控除している部分は、同条の趣旨に反し、ひいては公序良俗に反するものとして無効である。
(2) 本件規定が対象額Aから控除するものとしている割増金の中には,法定外休日労働に係る公出手当が含まれており,また,労働契約に定められた労働時間を超過するものの労働基準法に定める労働時間の制限を超過しない時間外労働に係る残業手当が含まれている可能性もあるが,本件規定は,これらを他と区別せず一律に控除の対象としているから,これらを含めた割増金に相当する額の控除を規定する割増金の控除部分全体が無効になる。

賃金規則
(ア) 割増金及び歩合給を求めるための対象額(以下「対象額A」という。)を,次のとおり算出する。
対象額A=(所定内揚高−所定内基礎控除額)×0.53+(公出揚高−公出基礎控除額)×0.62
(イ) 所定内基礎控除額は,所定就労日の1乗務の控除額(平日は原則として2万9000円,土曜日は1万6300円,日曜祝日は1万3200円)に,平日,土曜日及び日曜祝日の各乗務日数を乗じた額とする。また,公出基礎控除額は,公出(所定乗務日数を超える出勤)の1乗務の控除額(平日は原則として2万4100円,土曜日は1万1300円,日曜祝日は8200円)を用いて,所定内基礎控除額と同様に算出した額とする。
(ウ) 深夜手当は,次の,鉢△旅膩彝曚箸垢襦
{(基本給+服務手当)÷(出勤日数×15.5時間)}×0.25×深夜労働時間
◆並仂欒曖繊狒輜働時間)×0.25×深夜労働時間
(エ) 残業手当は,次の,鉢△旅膩彝曚箸垢襦
{(基本給+服務手当)÷(出勤日数×15.5時間)}×1.25×残業時間
◆並仂欒曖繊狒輜働時間)×0.25×残業時間
(オ)1、公出手当のうち,法定外休日(労働基準法において使用者が労働者に付与することが義務付けられている休日以外の労働契約に定められた休日)労働分は,次の,鉢△旅膩彝曚箸垢襦
{(基本給+服務手当)÷(出勤日数×15.5時間)}×0.25×休日労働時間
◆並仂欒曖繊狒輜働時間)×0.25×休日労働時間
  2、公出手当のうち,法定休日労働分は,次の,鉢△旅膩彝曚箸垢襦
{(基本給+服務手当)÷(出勤日数×15.5時間)}×0.35×休日労働時間
◆並仂欒曖繊狒輜働時間)×0.35×休日労働時間
(カ)歩合給(1)は,次のとおりとする(以下,この定めを「本件規定」という。)。なお,本件賃金規則には,従前支給していた賞与に代えて支払う賃金として,歩合給(2)が定められている。
対象額A−{割増金(深夜手当,残業手当及び公出手当の合計)+交通費}



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2017年08月21日

2年以上前に退職した元従業員の未払賃金請求

フォレストパイングループ事件(東京地裁 平成28.9.13)
すでに消滅時効が成立しているとして未払賃金請求が斥けられた例

事案の概要
 被告と訴外TTI・エルビュー株式会社は、グループ会社であり、原告は、被告ではなく訴外会社の従業員であると認識しており、訴外会社も、原告に対し、平成24年2月25日から平成26年2月14日までの賃金に未払があることを認めていた。ところが、訴外会社が事実上の破産状態に陥ったため、原告は、平成27年ころ、新宿労働基準監督署に対し、未払賃金立替払制度に基づく支払を請求した。新宿労働基準監督署の調査に対し、被告が原告は平成25年以降、被告の従業員であり、同年9月以降の賃金を支払っていないことを認める説明を行ったため、原告は未払賃金立替払制度に基づく支払を受けることができなかったとして、被告に、平成26年2月14日までの賃金(支払期日は平成26年2月25日)の支払いを求めて、平成28年3月25日、提起した。

消滅時効について
(1)平成26年2月14日までの賃金の支払期日は平成26年2月25日(給与支給日)又はそれ以前であり、原告が本訴を提起した平成28年3月25日時点において、すでに2年間(労働基準法115条)が経過している。

(2)原告は、代理人弁護士が作成した、平成26年9月1日から平成27年2月14日までの期間、被告従業員であったことを前提に、当該期間の賃金及びこれに対する遅延損害金の支払を求める趣旨の通知書を発送し、被告は、本件通知書を受領した(平成27年9月25日)後、直ちに本件回答書を返送し(平成27年9月30日)、平成26年9月1日から平成27年2月14日までの期間に原告が被告に在籍していなかったことを回答しているにもかかわらず、原告は、通知書の誤りを直ちに訂正することすらしなかった。

(3)平成26年9月1日から平成27年2月14日までの期間に係る賃金請求権は、本訴請求債権(平成24年2月25日から平成26年2月14日までの期間に係る賃金請求権)とは「権利を行使することができる時」(民法166条1項)も異なる別個の債権である。通知書による請求は、数量的可分な債権のうち一部のみを請求する一部請求の場面とは異なり、別個の債権を請求したに過ぎないのであり、これと異なる本訴請求債権について、催告の効果が及ぶとはいえない。

(4)原告は、平成26年1月31日付けで、被告に対して退職届を提出したことが認められるのであって、平成26年2月25日以降に本訴請求債権を行使し、時効中断のための措置を取り得たことは明らかであるから、原告が時間的余裕をもって被告に対する権利行使をする機会を奪われたとはいえない。

(5)被告が、新宿労働基準監督署に対し、原告の使用者であることを自認したからといって、これが原告に対する本訴請求債権の承認の意思表示に該当するとはいえないし、原告が時効中断のための措置を取り得たことは明らかであるから、被告が請求債権の消滅時効を援用することを矛盾挙動と評価することはできないし、被告による消滅時効の援用が、信義則に反し、又は権利濫用に該当するというべき事情は見当たらない。



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2017年08月18日

始末書不提出・欠勤等に基づく解雇

大阪いずみ市民生活協同組合事件(大阪地裁 平成29.1.26)
労働判例ジャーナル62号52頁

▪業務命令の無効確認を求める請求、解雇無効地位確認等請求が斥けられた例

事案の概要
 大阪いずみ市民生活協同組合の元従業員が、生協から始末書の提出を内容とする業務命令を受け、その後に解雇されたことについて、当該業務命令及び解雇はいずれも無効であるとして、業務命令の無効と労働契約上の権利を有する地位にあることの確認と従業員であることを前提とした賃金の支払いを求め、裁判所が、元従業員の業務命令の無効確認請求にかかる訴えを却下し、解雇無効地位確認等請求を棄却した。

懲戒処分
\原┐蓮∧神25年10月18日、原告に対し、〔1〕日報の未提出、〔2〕無断欠勤・遅刻、〔3〕バイク認定の学科再試験未受験が就業規則に違反するとして訓戒処分に処し、同月25日までに始末書を提出するよう命じたが(以下「本件懲戒処分」という。)、原告は始末書を提出しなかった。
∪原┐蓮同月29日、原告に対し、業務命令書でもって、同月31日までに始末書を提出するよう命じたが(以下「本件業務命令」という。)、原告は始末書を提出しなかった。
8狭陲蓮∧神25年11月1日以降、生協に出勤していない。
だ原┐蓮同月21日、原告に対し、同年12月20日をもって解雇する旨を告知した。
 なお、生協では日報の提出が指導されており、業務としてバイクや自動車を運転する場合には、生協内部の認定試験を受けて合格しなければならないものとされていた。

裁判所の判断
ア、原告は、日報の提出を怠り、再三の指導にもかかわらず改善がなく、遅刻や欠勤もあること、バイク認定学科試験についても指導がありながら、再受験をしていないことは、被告の就業規則35条(2)及び(12)に該当すること(遅刻及び欠勤については,就業規則25条及び27条違反が35条(2)に該当する。)、訓戒処分が被告の懲戒処分の中ではもっとも軽いものであり、賃金等の不利益を伴うものではないことを総合すれば,本件の訓戒処分が裁量権を逸脱するものとはいえず、違法とは認められない。
 なお、原告は,反論の機会を与えられなかったかのように主張するが、Nが原告に事実確認を行い、原告もその時点でそれなりに反論をしているうえ、そもそも被告の就業規則には、訓戒処分に先立って告知聴聞の機会を与えることは規定されていないから、これをもって手続違反にあたると解することもできない。
 したがって、不法行為にあたるとか、被告の債務不履行にあたるということはできない。

イ、原告は、本件業務命令(始末書の提出)が有効である限り、原告は休業を続けなければならず、労働契約上の権利を有することの地位の確認だけでは、被告によって侵害されている労働契約上の権利を取り戻すことはできないと主張する。
 しかし、本件業務命令は、原告の出勤を禁じる内容ではないから、両者に関連性があるとはいえず、原告が独自の判断でもって、業務命令があるから、出勤できないと主張しているにすぎない。原告が、10月31日にKに送信したメールも「…始末書は書けませんでした。この状況では、共済業務に集中専念できないので、当分休みます」というものであり、出勤が禁止されているこ等を理由とするものではなく、共済業務に集中専念できないとの原告自身の事情を欠勤の理由としているものである。
 そうすると、これをもって、本件業務命令の有効性について確認の利益があるとはいえない。

ウ、就業規則で定められたところに従って、始末書の提出を求めることが違法とはいえないし、本件において、その態様等が社会通念を逸脱するようなものであったとも認められない。
 なお、憲法の人権規定は、私人間では、直接適用されるものではなく、公序良俗等の私法上の規定を通して間接的に適用されると解されるところ、就業規則に沿って始末書の提出を求めることが、公序良俗に違反するとは認められず、不法行為を構成するとか債務不履行にあたるということはできない。

エ、原告は、単に協調性を欠くというにとどまらず、独自の価値観に基づいて、執拗な要求を繰り返し、あるいは自己中心的ないしは攻撃的な言動を繰り返し、周囲との間で軋轢を生じさせており、被告が他の従業員との関係で職場環境配慮義務を履行することが容易とは言い難い状況になっていること、訓戒処分を受けながらその後も日報の提出について改善が見られないことに加え、11月1日以降は労務を提供していないこと、解雇の効力発生日から契約終了日までの日数は3ヶ月ほどであるが、欠勤の状況からして、その間に出勤できるかどうかは不透明であることを総合すれば、本件については、解雇を相当とするやむを得ない事由があると認められ、本件解雇が有効と認められる。



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2017年08月17日

平成29年10月から2歳まで育休再延長が可能に

改正育児・介護休業法

(欅蕷爐覆匹貌れない場合、2歳(現行1歳6ヵ月)まで育児休業が取れるようになります。
 育児休業給付金の給付期間も2歳までとなります。

∋劼匹發生まれる予定を知った場合に従業員や配偶者に育児休業等の制度を知らせる努力義務が創設されます。

Lそ学児の子育てをしている従業員に育児目的休暇制度を設ける努力義務が創設されます。

リーフレット


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大学生、大学院生の働きたい組織の特徴(2018年卒)


● 大学生の働きたい組織として、支持している項目は、
「仕事と私生活のバランスを自分でコントロールできる」
「安定し、確実な事業成長を目指している」
「入社直後の給与は低いが、長く働き続けることで後々高い給与をもらえるようになる」
「コミュニケーションが密で、一体感を求められる」
「歴史や伝統がある企業である」の順であった。

● 大学院生の働きたい組織として、支持している項目は、
「仕事と私生活のバランスを自分でコントロールできる」
「入社直後の給与は低いが、長く働き続けることで後々高い給与をもらえるようになる」
「歴史や伝統がある企業である」
「安定し、確実な事業成長を目指している」
「コミュニケーションが密で、一体感を求められる」の順であった。

●「仕事と私生活のバランスを自分でコントロールできる」の項目がすべての属性で8割以上となっており、最も支持される結果となった。特に大学生および大学院生の女性・理系では9割に達した。


調査対象:リクナビ2018会員、2018年3月卒業予定の大学生および大学院生
調査期間:2017年5月19 日〜 5月31日
調査方法:インターネット調査
調査内容:「働きたい組織」の特徴
回収数 :大学生 5,671人 大学院生 1,614人 計 7,285人

働きたい組織の特徴(2018年卒) 株式会社リクルートキャリア



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2017年08月16日

労災かくしで共謀 元請・下請などを送検

 広島中央労働基準監督署は、虚偽の内容を記した労働者死傷病報告書を提出したとして、土木工事業の螢灰好盥業(広島県東広島市)と同社代表取締役を労働安全衛生法第100条(報告等)違反の容疑で広島地検に書類送検した(平成29年5月9日)。併せて、コスモ工業に工事を発注した一次下請の元所長および元請の取締役も同法違反で処分している。

 コスモ工業は2次下請として請け負っていた東広島市の道路舗装工事現場において、同社労働者が右足の指を負傷して60日間休業する労働災害が発生した際、「別の工事現場で負傷した」と記した虚偽の報告をした疑い。同元所長と同取締役は、虚偽報告の提出を共謀して行った疑い。


労働安全衛生法
第百条第三項  労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。

第百二十条  次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
五  第百条第一項又は第三項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は出頭しなかつた者








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始業前の体操などで未払い賃金

スズキ工場始業前体操など未払い賃金
  
 スズキは24日、相良工場(静岡県牧之原市)で、始業前の体操や朝礼に伴う未払い賃金があったと明らかにした。同日までに、2016年6月〜17年2月分として約500人に計約1000万円を支払った。6月に島田労働基準監督署から是正勧告を受けていた。

 スズキなどによると、相良工場では始業前、任意で約5分間の体操を実施し、始業後に1〜2分程度の朝礼をしている。一部部署で体操が任意参加と伝わっていなかったほか、朝礼を始業前に実施していた部署があり、未払いが生じたという。

SankeiBiz 2017.7.25 05:00  



労働時間とは、
「労働基準法第32条の労働時間とは労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、その労働時間に該当しているか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではないと解するのが相当である。」
三菱重工長崎造船所事件(最高裁 平成12.3.9)

労働時間であるかの判断は、使用者の指揮命令下にあるか否か

実質的に使用者の指揮命令の下に置かれたもので労働時間とされた判例

「労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、当該行為を所定労働時間外において行うものとされている場合であっても、当該行為は、特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められるものである限り、労働基準法上の労働時間に該当すると解される。」、「内規(労働契約、就業規則、労働協約等の定め)により作業服、安全保護具等の装着が義務づけられ、事実上拘束された状態で従事する着用等の場合は、労働契約上の基本的義務である労働提供義務と不可分一体のものとしてこれを労働時間に含む。」三菱重工長崎造船所事件(最高裁 平成12.3.9)

 労働時間であるかどうかは、労働者が使用者の指揮命令下にあると評価されるか否かであるので、「事実上拘束された状態で」の作業服等の着用は労働時間に含むとことになります。


使用者の直接の支配下にあるわけではないので労働時間ではないとされた判例

「一般に労働基準法第32条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮・命令の下に拘束されている時間をいうものと解されている。ところで、労働者が現実に労働力を提供する始業時刻の前段階である入門後職場到着までの歩行に要する時間や作業服、作業靴への着替え・履替えの所要時間をも労働時間に含めるべきか否は、就業規則や職場慣行等によってこれを決するのが相当であると考えられる。ただし、入門後職場までの歩行や着替え・履替えはそれが作業開始に不可欠のものであるとしても、労働力提供のための準備行為であって、労働力の提供そのものではないのみならず、特段の事情がない限り使用者の直接の支配下においてなされるわけではないから、これを一律に労働時間に含めることは使用者に不当の犠牲を強いることになって相当とはいい難く、結局これをも労働時間に含まれるか否かは、就業規則にその定めがあればこれに従い、その定めがない場合には職場慣行によってこれを決するのが最も妥当であると考えられるからである。」日野自動車事件(最高裁 昭59.10.18)

 着替えが作業開始に不可欠であるとしても、それ自体は労働の提供ではないし、使用者の直接の支配下にあるわけではないので、労働時間に含めるか否かは職場の慣行に従うのが妥当とされています。

 労働者が業務の準備行為や始業前の体操、掃除などを自発的、任意的に行っているのではなく、使用者によって業務の準備行為が義務付けられている、あるいは始業前の体操や朝礼、掃除が強制されているような場合は、労働時間に該当します。

 また、任意参加としていても、参加しないと不利益な取扱い(評価項目となっている、遅刻扱いとなる等)を受ける場合は、使用者の黙示的な指示命令があったことになりますので、労働時間と見なされます。この点は、各所属長にも十分、周知しておく必要があります。
 



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2017年08月10日

限度基準を超える固定残業手当

X社事件(東京高裁 平 28.1.27 判決:労経速2296号)

 業務手当(固定残業手当)が限度基準を超える時間外労働を目安としていたとしても、それによって当該業務手当が違法になるとは認められないとされた事例

 固定残業代の対象となる想定時間が明示されておらず、時間外勤務手当、深夜勤務手当等割増率の異なる割増賃金が含まれているとしても、定額の手当が割増賃金に当たるというためには、それが割増賃金以外の賃金の部分と明確に区別されていることが必要であり、労基法37条が時間外労働の時間数及びそれに対して支払われた割増賃金の額を明示することまでを要請しているとはいえないとした事例

事件の概要
 Aは、X社の従業員であり、X社の給与規程には、時間外勤務手当、深夜勤務手当、休⽇勤務手当および休⽇深夜勤務手当の代わりとして業務手当が支払われる旨規定されていたところ、Aは月45時間を超える時間外労働を予定した定額の割増賃⾦の規定は全部または⼀部無効である等と主張して、X社に対し、在職中の時間外、休⽇、深夜労働等についての割増賃金および付加金の支払いを請求した。

裁判所の判断
 当裁判所は、控訴人の請求はいずれも理由がなく、控訴人の当審における追加請求も理由がないものと判断する。

判断要素
ゝ詬慎程に、給与の種類が分類されており、業務手当は基準外手当に分類されている。
給与規程に、業務手当は、時間外勤務手当、深夜勤務手当、休⽇勤務手当、休⽇深夜勤務手当の代わりとして⽀払うものとされ、不足がある場合は、別途これを支給すると記載されている。
5詬慎程に、割増賃金の計算方法に関する規定があり、業務手当は割増賃金の算定基礎から除外されている。
そ業規則や給与規程を従業員に周知させている。
サ詬慎程に定められたとおりに業務手当を支給し、割増賃金が業務手当の金額を超えていた場合には超過分を支給している。

固定残業手当で充当する時間外労働の時間数およびその額が明示されていない点について
 「定額の手当が割増賃金に当たるというためには、それが割増賃金以外の賃金の部分と明確に区別されていることが必要であると解されるが、労基法37条が時間外労働の時間数及びそれに対して支払われた割増賃金の額を明示することまでを要請しているという控訴人の主張は採用することができない」とし、「業務手当として支払われている額が明示されている以上」、「残業代が支払われているかを計算して検証することは十分に可能であ」るとし、業務手当に係る規定は、労基法37条に違反し無効とはいえないし、残業代の支払いの定め方としても無効であるともいえないと判断した。

限度基準を超える時間外労働の対価として支給されている点について
 業務手当が労働基準法第36条第2項の規定に基づき労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準(平成10年12⽉28⽇労働省告示第154号)の月45時間を超える時間外労働の対価として支給されている点について、この基準は「時間外労働の絶対的上限とは解されず、労使協定に対して強行的な基準を設定する趣旨とは解され」ず、「36協定において、月45時間を超える特別条項を定めており、その特別条項を無効とすべき事情は認められない」から、「業務手当が月45時間を超える」「時間外労働を目安としていたとしても、それによって」「業務手当が違法になるとは認められない」とした。

 また、「業務手当が常に36協定の特別条項の要件を充足しない時間外労働を予定するものであるということはできないし」「仮に36協定の特別条項の要件を充足しない時間外労働が⾏われたとしても、割増賃金支払業務は当然に発生するから、そのような場合の割増賃金の支払も含めて」「給与規程において定めたとしても、それが当然に無効になると解することはできない」とした。

 なお、時間外労働の有無にかかわらず、すべての従業員に⼀律に業務手当が支給されている点に関して、経営する店舗の営業日や営業時間との関係で従業員の時間外労働や深夜労働が避けられないという、X社の業務態様に照らし、正社員に業務手当を支給することには合理性があり、業務手当がすべての従業員に⼀律に支給されていることをもって、定額の割増賃金といえないことにはならないとした。

 定額の割増賃金が認められるには、基本給につき通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外労働等の割増賃金に当たる部分とが明確に区別されて合意されていることを必要とするという判断枠組(小里機材事件:最高裁 昭63.7.14判決 労判523号、高知県観光事件:最高裁 平6.6.13判決 労判653号)を下級審においても、おおむね採用している。

 定額の割増賃金の設定上限を労基法36条の上限として広く周知されている限度基準の月45時であるとして、固定残業手当の対象を限定的に解釈したものも存在する(ザ・ウィンザー・ホテルズインターナショナル事件:札幌高裁 平24.10.19判決 労判1064号)が、実際の割増賃金が固定の割増賃金の金額を超えていた場合にも超過分を支給していなかったという個別の事情を前提とした判断であった。



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2017年08月09日

保育士等の処遇改善

(処遇改善加算機妨醜

【全職員】
 2015年度の子ども子育て新制度において、3%(約9000円)の処遇改善を行ったが、2017年4月から、それに更に2%(約6000円)の上乗せを行う。


(処遇改善加算供冒論

【経験7年以上で副主任保育士と専門リーダーを新設し、月額4万円の処遇改善】
 対象者の要件は、
 ・経験年数が概ね7年以上
 ・キャリアアップ研修のうち、4分野以上の研修を修了していること
  (副主任保育士については4分野にマネジメントが入っていること)
 ・主任になる前の段階に「副主任保育士」と「専門リーダー」職を新設し、
  園が公式に発令を行うこと
  (専門リーダーの例:乳児主任、幼児主任、障害児主任、食育主任)

 キャリアアップ研修
 ‘児保育、⇒鳥保育、障害児保育、た育・アレルギー、
 ナ欸魃卆検Π汰澗从、κ欷郤垰抉隋子育て支援、保育実践、┘泪優献瓮鵐

 ただし、対象者の一園あたりの上限人数は、「園長・主任保育士を覗く保育士等全体の概ね3分の1」で、園の判断で、園長を除く他の職員にも配分ができるが、対象者の2分の1(小数点以下切り捨て)の保育士に対しては4万円の支給をしなければならない。

 ※対象者5人の場合、支給額は20万円、5人の2分の1は2.5人なので小数点以下を切り捨てし2人は4万円の支給を行い、残りの12万円を園長を除く職員に分配することができる。

【経験3年以上で職務分野別リーダーを新設し、月額5000円の処遇改善】
 対象者の要件は、
 ・経験年数が概ね3年以上
 ・担当する職務分野(キャリアアップ研修 銑Δ涼罎ら選択)の研修を修了して
  いること
 ・「職務分野別リーダー」職を新設し、園が公式に発令を行うこと
  (職務分野別リーダーの例:子育て支援リーダー、保健リーダー、アレルギーリ
   ーダー)

 ただし、対象者の一園あたりの上限人数は、「園長・主任保育士を覗く保育士等全体の概ね5分の1」


tutida2oo2 at 18:51|PermalinkComments(0)clip!法改正情報 | 人事制度

2017年08月08日

NHK受診契約の取次を行う地域スタッフの労働者性

NHK堺営業センター(地域スタッフ)事件(大阪高裁 平28.7.29 判決:労判1154号)

放送受信契約の取次業務を受託したXと、委託者であるY協会との間の有期委託契約の中途解約につき、労働契約法17条1項(契約期間中の解雇等)を類推適用して無効とした⼀審判決を取り消し、Xの地位確認請求が棄却された事例。

争点
本件の主な争点は、中途解約の有効性判断に当たっては、Xの労契法上の労働者性および中途解約に労契法17条1項を類推適用すべきか否か。

裁判所の判断
中途解約の有効性について、原告は労働契約法上の労働者に該当せず、本件中途解約について労働契約法17条1項は適用も類推適用もされない。

(1)労働契約法上の労働者性の判断基準
労働契約法上の労働者性は、基本的に〇藩兌圓了愆監督下における労働か否かという労働提供の形態と∧鷭靴提供された労務に対するものであるか否かという報酬の労務対償性によって判断される(使用従属性)。
]働提供の形態については、ア.仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無、イ.業務遂行上の指揮監督の有無、ウ.勤務場所・勤務時間に関する拘束性の有無、エ.代替性の有無等に照らして判断する。
∧鷭靴力務対償性については、オ.報酬が⼀定時間労務を提供していることに対する対価と判断される場合には使⽤従属性を補強する。さらに、 ↓△糧獣任鯤箒する要素として、カ.事業者性の程度、キ.専属性の程度、ク.その他の要素を勘案して総合判断をする。

ア 仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無
目標数の設定を伴う業務従事地域の指定があり、目標数を達成するように業績確保に努める義務を負っているものの、特定の世帯を訪問する義務が課されているわけではなく、訪問する先や日時を自らの裁量で決定することができる。これらの事実に照らすと、Y協会がXら地域スタッフに対して、包括的に業務を委託していると評価することができ、具体的な仕事の依頼や業務従事の指示等ということはできない。したがって、Y協会が上記の地域指定や目標数の設定をすることをもって、Xら地域スタッフに具体的な仕事の依頼や業務従事の指示等に対する諾否の自由がないと認めることはできない。

イ 業務遂行上の指揮監督の有無
Y協会は地域スタッフに対し、継続的に指導・助言を行う体制を敷いているが、地域スタッフがY協会の指導・助言や特別指導に応じなかったとしても、そのために債務不履行責任を問われたり、経済的不利益を課されたりすることはなく、稼働日、稼働時間、訪問区域、経路等は、地域スタッフの裁量に基づき決定されている。したがって、地域スタッフが、業務の内容及び遂行方法についてY協会の具体的な指揮命令すなわち業務遂行上の指揮監督を受けているということはできない。

ウ 勤務場所・勤務時間に関する拘束性の有無
地域スタッフの業務の開始・終了時刻及び休憩時間は、地域スタッフの裁量に委ねられおり裁量労働制のみなし労働時間のような定めも置いていない。業績不振の地域スタッフに対して、稼働日数を増やしたり、夜間や土曜日・日曜日に稼働したりするように指導・助言を行うことがあり、また、特別指導の対象者に対しては、帯同指導を行っているが、これらの指導に従わない者に対して、そのことを理由に不利益を課すようなことはしていない。以上の認定事実によると、地域スタッフの勤務場所・勤務時間に関する拘束性は極めて緩やかであるということができる。

エ 代替性の有無
契約書には、地域スタッフが自己の責任と計算において委託業務の全部又は一部を第三者に再委託することができることを定めており、局・センターにおいても、上記規定に基づく再委託の実績があることが認められる。したがって、本件契約上、委託業務の再委託は容認され、委託業務の代替性が認められているというべきであり、このことは、本件契約における指揮監督関係を否定する要素の一つになる。

オ 報酬の労務対償性
地域スタッフの報酬は、その性質上、一定額の支給になじむものを除いて、基本的に出来高払いであるということができる。そして、地域スタッフの報酬について、業務に従事した時間を基礎として支払額が決定される仕組みは採用されておらず、欠勤した場合の報酬の控除や、残業をした場合に手当を支給する仕組みもないことが認められる。したがって、報酬の労務対償性は乏しいといえる。

カ 事業者性の程度
Y協会は、地域スタッフに対し、携帯端末や業務に必要な書式用紙その他特に必要と認める物品を貸与しているが、他方、顧客を訪問する際の交通費は地域スタッフが自ら負担していることが認められる。

キ 専属性の程度
契約書には、地域スタッフの兼業・兼職を禁止又は制限する条項はなく、実際にも兼業している者がいることが認められる。

ク その他の要素
Y協会は、地域スタッフに報酬を支払う際、所得税法204条1項4号に基づき集金人の報酬として源泉徴収を行っており、給与所得としての源泉徴収を行っていないこと、労働保険の適用対象とされていないこと、就業規則は、地域スタッフには適用されないことが認められる。

ケ 小括
いずれの要素についても、使用従属性の存在を認める方向の事実は認められず、地域スタッフのY協会に対する使用従属性を認めることはできない。
したがって、Xが、労働基準法及び労働契約法上の労働者であるということはできないし、本件契約に労働契約法が類推適用されるということもできない。


tutida2oo2 at 17:27|PermalinkComments(0)clip!判例 | 労働契約法

2017年08月04日

フレックスタイム制においての労働時間の過不足の繰越

 フレックスタイム制において、実際に労働した時間が清算期間における総労働時間として定められた時間に比べて過不足が生じた場合には、当該清算期間内で労働時間及び賃金を清算することがフレックスタイム制の本来の趣旨であるが、それを次の清算期間に繰り越すことについては、

(昭和63.1.1基発第1号)
1、清算期間における実際の労働時間に過剰があった場合に、総労働時間として定められた時間分はその期間の賃金支払日に支払うが、それを超えて労働した時間分を次の清算期間中の総労働時間の一部に充当することは、その清算期間内における労働の対価の一部がその期間の賃金支払日に支払われないことになり、労基法第24条に違反し、許されないものであること。
2、清算期間における実際の労働時間に不足があった場合に、総労働時間として定められた時間分の賃金はその期間の賃金支払日に支払うが、それに達しない時間分を、次の清算期間中の総労働時間に上積みして労働させることは、法定労働時間の総枠の範囲内である限り、その清算期間においては実際の労働時間に対する賃金よりも多く賃金を支払い、次の清算期間でその分の賃金の過払を清算するものと考えられ、労基法第24条に違反するものではないこと。

清算期間の労働時間に過剰があった場合は過剰を次の清算期間の労働時間に充当する
ことはできず、当該清算期間で清算しなければ、賃金の全額払いの原則に違反することになる。

清算期間の労働時間に不足があった場合は不足を次の清算期間の労働時間に上積みす
ることは法定労働時間を超えない範囲で行うことができる。当然ながら、不足を当該清算期間で清算(不足時間分を賃金減額)することは認められる。


tutida2oo2 at 00:13|PermalinkComments(0)clip!労働時間 | 賃金

2017年08月03日

専修大元職員の解雇確定 最高裁

 労災認定を受け休職中に解雇された専修大の元職員の男性(42)が地位確認を求めた訴訟の差し戻し上告審で、最高裁第1小法廷(大谷直人裁判長)は27日付で男性の上告を棄却する決定を出した。解雇を有効とした東京高裁判決が確定した。労災保険の給付を受ける休職者の解雇が裁判で確定するのは初とみられる。

 労働基準法は、業務上の病気で休職中の労働者でも、雇用主が療養費を負担し、3年を過ぎても回復しない場合は賃金1200日分の「打ち切り補償」を支払って解雇できると定めている。

 今回の訴訟では、労災保険を受給中の男性について1、2審は「解雇できない」と判断。これに対し最高裁は2015年、「労災保険受給中は補償が実質的に行われており、雇用主が療養費を負担した場合と同じく、打ち切り補償の支払いで解雇できる」との初判断を示し、審理を高裁に差し戻していた。

 男性は肩などに痛みが生じる頸肩腕(けいけんわん)症候群と診断され、07年に休職。専修大は11年、男性に約1600万円の打ち切り補償を支払い解雇していた。

 業務上の疾病(頸肩腕症候群)により休業し、労災保険法に基づく療養補償給付及び休業補償給付を受けている学校法人の職員が、当該学校法人から打切補償として平均賃金の1,200日分相当額の支払を受けた上で解雇されたことから、本件解雇を業務上の傷病による療養休業中の労働者の解雇を禁止する労基法第19条第1項(解雇制限期間)に違反し無効であると主張して、学校法人に対し地位確認等を求めた事案。

 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間は、原則として、解雇することができない(労基法第19条第1項本文)が、使用者が、労基法第81条の規定によって打切補償を支払う場合においては、この限りではない(第19条第1項ただし書)。

 労基法第81条の打切補償は、療養補償(労基法第75条)によって補償を受ける労働者が、療養開始後3年を経過しても負傷又は疾病が治らない場合においては、使用者は、平均賃金の1,200日分の打切補償を行えば、その後、労基法の災害補償を行わなくてもよいとするものだが、労基法第19条を文言解釈すれば、労基法第75条の療養補償(事業主による災害補償)を受けている労働者について、打切補償を支払って解雇制限期間中に解雇することができるのであり、労働者が労基法第75条の療養補償を受けていずに、労災保険法の療養補償給付を受けている場合は、打切補償を支払って解雇制限期間中に解雇することはできないことになる。

 最高裁判決では、「業務災害に関する労災保険制度は、労働基準法により使用者が負う災害補償義務の存在を前提として、その補償負担の緩和を図りつつ被災した労働者の迅速かつ公正な保護を確保するため、使用者による災害補償に代わる保険給付を行う制度である」とし、「労災保険法に基づく保険給付の実質は、使用者の労働基準法上の災害補償義務を政府が保険給付の形式で行うものである」ことから、「労災保険法12条の8第1項1号から5号までに定める各保険給付は、これらに対応する労働基準法上の災害補償に代わるものということができる」とし、「災害補償は、これに代わるものとしての労災保険法に基づく保険給付が行われている場合にはそれによって実質的に行われているものといえる」として、労災保険法の療養補償給付を受ける労働者は、労基法第19条第1項の解雇制限の適用に関しては、労基法75条の療養補償によって補償を受ける労働者に含まれるものと解釈した。
 したがって、労災保険法の療養補償給付を受ける労働者が、療養開始後3年を経過しても傷病が治らない場合でも、使用者が打切補償を行えば、解雇制限は解除されることが確定した。

 ただし、解雇権濫用法理(労契法第16条)の適用があるかどうかを更に審理させるため、本件を高裁に差し戻していた。



tutida2oo2 at 12:21|PermalinkComments(0)clip!判例 

2017年08月02日

留学生のアルバイト(資格外就労)は週28時間以内

外国人留学生らに法定時間を超えて長時間労働させたとして、入管難民法違反(不法
就労助長)の罪に問われた飲食店「串かつだるま」の運営会社「一門会」(大阪市)
と、同社の店舗統括部長に大阪簡裁は、求刑通り法人に罰金50万円、部長に同30
万円の判決を言い渡した。

同社によると、全店舗のアルバイト約700人のうち、約200人が外国人という。

判決によると、昨年9〜11月、大阪市内の複数の店舗で、留学生ら11人に対し、
国が定めた週28時間の上限を超えて働かせた。先月の初公判で、いずれも起訴内容
を認めていた。
今年3月、大阪府警が同法違反容疑などで同社と上山社長ら幹部を書類送検。大阪区
検は法人と部長を略式起訴したが、簡裁が4月、略式不相当と判断し正式公判に移行
した。
(共同通信社)


資格外活動の許可(入管法第19条)

日本に在留する外国人は、入管法別表第1又は第2に定められた在留資格をもって
在留することとされている。入管法別表第1に定められた在留資格は、就労や留学
など日本で行う活動に応じて許可されるものであるため、その行うことができる活
動は、それぞれの在留資格に応じて定められている。
したがって、許可された在留資格に応じた活動以外に、収入を伴う事業を運営する
活動又は報酬を受ける活動を行おうとする場合には、あらかじめ資格外活動の許可
を受けていなければならない。


出入国管理及び難民認定法施行規則(抄)
第19条
5 法第19条第2項の規定により条件を付して新たに許可する活動の内容は,次
の各号のいずれかによるものとする。
一 1週について28時間以内(留学の在留資格をもって在留する者については,在
籍する教育機関が学則で定める長期休業期間にあるときは,1日について8時間以
内)の収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動(風俗営業若しくは店
舗型性風俗特殊営業が営まれている営業所において行うもの又は無店舗型性風俗特
殊営業,映像送信型性風俗特殊営業,店舗型電話異性紹介営業若しくは無店舗型電
話異性紹介営業に従事するものを除き,留学の在留資格をもつて在留する者につい
ては教育機関に在籍している間に行うものに限る。)


tutida2oo2 at 13:20|PermalinkComments(0)clip!雇用 

2017年08月01日

8月から老齢年金を受給するために必要な期間が25年から10年以上に短縮されました

これまでは、老齢年金を受け取るためには、保険料納付済期間(国民年金の保険料納付済期間や厚生年金保険、共済組合等の加入期間を含む)と国民年金の保険料免除期間などを合算した資格期間が原則として25年以上必要でした。

平成29年8月1日からは、資格期間が10年以上あれば老齢年金を受け取ることができるようになりました。



tutida2oo2 at 11:52|PermalinkComments(0)clip!年金 

2017年07月31日

6月の有効求人倍率は1.51倍

厚生労働省が公表した「一般職業紹介状況」によると、
2017年6月の有効求人倍率(季節調整値)は1.51倍で、前月比0.02ポイント上昇。
正社員有効求人倍率(季節調整値)は1.01倍となり、2004年11月の集計開始以来
初めて、1倍を上回った。



tutida2oo2 at 11:16|PermalinkComments(0)clip!雇用 

6月の完全失業率は2.8%

【就業者】
 ・就業者数は6583万人。前年同月に比べ61万人の増加。54か月連続の増加
 ・雇用者数は5848万人。前年同月に比べ87万人の増加。54か月連続の増加
 ・正規の職員・従業員数は3457万人。前年同月に比べ68万人の増加。31か月連続の増加。
  非正規の職員・従業員数は2046万人。前年同月に比べ23万人の増加。4か月連続の増加
 
【完全失業者】
 ・完全失業者数は192万人。前年同月に比べ18万人の減少。85か月連続の減少

【完全失業率】
 ・完全失業率(季節調整値)は2.8%。前月に比べ0.3ポイントの低下



tutida2oo2 at 10:51|PermalinkComments(0)clip!雇用 

2017年07月29日

平成29年度 最低賃金引き上げは全国加重平均で25円を答申


中央最低賃金審議会はこのほど、平成29年度地域別最低賃金額改定の目安について、塩崎恭久厚生労働大臣に答申した。今年度の目安が示した引き上げ額の全国加重平均は25円となった。 
 
 各都道府県の引き上げ額の目安は、都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をABCDの4ランクに分けて提示。Aランク(東京、千葉、神奈川、愛知、大阪の6都府県)は26円、Bランク(茨城、栃木、富山、山梨、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島の11府県)は25円、Cランク(北海道、宮城、群馬、新潟、石川、福井、岐阜、奈良、和歌山、岡山、山口、徳島、香川、福岡の14道県)は24円、Dランク(青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄の16県)は22円となった。 長崎はDランクのため715円(現行)から737円になる見込み。
 
 今後は、各地方最低賃金審議会で、この答申を参考にしつつ、地域における賃金実態調査や参考人の意見なども踏まえた調査審議の上、答申を行い、 各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定する。 



tutida2oo2 at 02:59|PermalinkComments(0)clip!賃金 

2017年07月27日

弁当販売チェーン店の店長の管理監督者性

プレナス事件(静岡地裁平成29年2月17日)

本件は、P社(被告)が運営する弁当販売店の店長として勤務していたX(原告)は管理監督者に該当するため、割増賃金を支払う必要はないとするP社に対して、Xが時間外・休日労働に対する割増賃金が未払いであるとして、割増賃金請求および労基法114条に基づく付加金請求を行った事案である。Xの管理監督者性が主な争点となったが、判決は管理監督者性を認めず、Xの割増賃金請求および付加金請求の一部を認容した。

管理監督者性について
労基法41条2号は、「監督若しくは管理の地位にある者」すなわち、いわゆる管理監督者について、同法第4章等に定める労働時間、休憩及び休日に関する規定を適用しない旨を定めている。管理監督者については、/μ概擇喟嫻い僚斗彑並びに勤務実態に照らし、法定労働時間の枠を超えて勤務する必要があり、労働時間等に対する規制になじまないこと、⊃μ海瞭睛撞擇啗限並びに勤務実態に照らし、労働時間を自らの裁量で自由に定めることができること、C楼未鳳じた高い待遇を受けられること等に照らし、上記労働時間等に関する規定の適用を除外されても、同法1条の基本理念や同法37条1項の労働時間規制の趣旨に反しないことから、上記のような定めがされたものである。

このような規定の趣旨等に照らせば、管理監督者に該当するか否かについては、
/μ海瞭睛董権限、職責及び勤務実態等に照らし、経営上重要な事項の決定等に関与していたか、
∀働時間に関する裁量があったか、
D其眦の待遇等、その職務内容や職責等にふさわしい賃金等の待遇を受けていたか
といった事情を総合的に考慮して判断するのが相当であると解される。

/μ海瞭睛董権限等について
Xは、店長として、クルーのシフトを作成したり、店舗の売上状況、廃棄ロスの確認をしたり、その内容をP社本部に報告するなど、責任者として、店舗の運営、管理業務を行っていた。しかしながら、クルーの採用権限は有していたものの、募集には決裁が必要であり、解雇する際も、本部の人事部長に報告、相談する必要があったのであり、また、クルーの時給を決定する権限も有していなかった。
このようなXの職務内容や権限からすると、Xが経営上重要な事項の決定等に関与していたとはいい難く、その職務内容及び権限から直ちに原告を管理監督者に当たるということはできない。

∀働時間に関する裁量について
Xは、自らの出退勤の時間、シフトインの時間、休憩時間等を決定する権限を有しており、また休日の取得についても自ら決定する権限を有していた。
もっとも、Xは、公休予定とされていた日に休みを取得できず、別の日に振り替えていることも複数回にわたりあった。これは、クルーのシフトを組む際、クルーの予定によって、公休予定としていた日についても、X自身がシフトインする必要が生じたためであると考えられる。そうすると、Xは、全くの自由裁量で労働時間を決めることができたとまではいえず、クルーのシフト次第では、労働時間が拘束され得る立場にあった。

D其眦の待遇等について
Xは、平成24年11月1日以降、年齢給等に加え、店舗管理手当として5万円が支給され、また新店の店長となった平成25年5月及び同年6月には新手当として3万円が支給されていることが認められる。しかし、上記の各手当が支払われたとしても、Xの年収はおよそ326万円程度であったと考えられ、これはP社本部の非管理監督者の平均年収と大きく変わるものではなくまた賃金センサスにおける平均年収(466万500円)より大きく下回るものであり、そうすると、Xが管理監督者に応じた高い待遇を受けていたとは認めることはできない。

まとめ
上記の各事情を総合考慮すれば、XがP社において管理監督者であったとは認めることはできず、P社の主張を採用することはできない(なお、P社の就業規則では、店長職にある者を管理監督者と扱う旨を定めているが、この部分は労基法に反するため無効である。)。


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2017年07月26日

社労士代行の電子申請(安衛法)電子署名を省略

 労働政策審議会安全衛生分科会(分科会長、土橋律・東京大学大学院工学系研究科教授)は24日、塩崎恭久厚生労働相から諮問のあった「社会保険労務士(社労士)の代行による電子申請の際に、申請者の電子署名を省略する」ための「労働安全衛生規則(安衛則)等の一部を改正する省令案要綱」について、即日「妥当」と答申した。



tutida2oo2 at 16:06|PermalinkComments(0)clip!労働安全衛生 

2016年06月02日

法人の事業主と同居の親族で取締役ではない場合は特別加入できない

 事業主と同居している親族は、事業主と居住、及び生計を一にするものであり、原則としては労働基準法上の「労働者」には該当しません。したがって、労災保険も適用外となります。

 同居の親族であっても、常時同居の親族以外の労働者を使用する事業において、一般事務、又は現場作業等に従事し、かつ次の条件を満たすものについては、一般に私生活面での相互協力関係とは別に独立して労働関係が成立していると見て、労働基準法の「労働者」として取り扱い、労災保険も適用できます。
(1) 業務を行うにつき、事業主の指揮命令に従っていることが明確であること。
(2) 就労の実態が当該事業場における他の労働者と同様であり、賃金もこれに応じて支払われていること。特に、始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等、また賃金の決定、計算及び支払方法、賃金の締切及び支払の時期等について就業規則その他これに準ずるものに定めるところにより、その管理が他の労働者と同様になされていること。

 法人の役員(取締役)は、原則として労災保険の対象となりません。

 ただし、(1) 法人の取締役・理事・無限責任社員等の地位にある者であっても、法令・定款等の規定に基づいて業務執行権を有すると認められる者以外の者で、事実上業務執行権を有する取締役・理事・代表社員等の指揮監督を受けて労働に従事し、その対償として賃金を得ている者は、原則として「労働者」として取り扱います。
(2) 監査役、及び監事は、法令上使用人を兼ねる事を得ないものとされていますが、事実上一般の労働者と同様に賃金を得て労働に従事している場合は、「労働者」として取り扱います。
※保険料の対象となる賃金は、「役員報酬」の部分は含まれず、労働者としての「賃金」部分のみです。

 上記の条件に該当しない場合は労災保険の適用外となりますが、個人事業主の同居の親族や法人の事業主の同居の親族で取締役の場合は特別加入により労災に加入することができます。

 しかし、法人の事業主の同居の親族で取締役ではなく、上記の条件に該当しない場合は労災保険の対象にならないだけではなく、特別加入をすることもできません。労災保険加入が必要な場合は就労の実態を上記の条件に該当するようにして労災適用対象となるか、取締役に就任して特別加入をしなければなりません。

※中小事業主等の特別加入の対象は、以下の ↓△謀たる場合をいいます。
  ]働者を常時使用する事業主(事業主が法人その他の団体であるときは、その代表者)
 ◆]働者以外で,了業主の事業に従事する人(事業主の家族従事者や、中小事業主が法人その他の団体である場合の代表者以外の役員など)

 

 

 

tutida2oo2 at 16:06|PermalinkComments(0)clip!労災