派遣労働者の過労自殺を認定、ニコンなどに賠償命令・東京地裁
 業務請負の形で光学機器大手ニコンの熊谷工場(埼玉県)に派遣された男性がうつ病を発症して自殺したのは、長時間勤務と劣悪な勤務環境が原因として、母親がニコンと業務請負会社ネクスター(現アテスト、名古屋市)に計約1億4400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は31日、約2480万円の支払いを命じた。

 


 
 過労死弁護団全国連絡会議によると、実質的な派遣労働者の過労自殺を認め、賠償を命じた判決は初めて。派遣労働者は雇用責任が分散しがちで権利の保護が難しいと指摘されており、企業側には一層の安全配慮が求められそうだ。
 芝田俊文裁判長は判決理由で「不規則、長時間の勤務で、作業内容や閉鎖的な職場の環境にも精神障害の原因となる強い心理的負担があった。自殺原因の重要部分は業務の過重によるうつ病にある」と指摘。
 その上で「人材派遣、業務請負など契約形態の違いは別としても、両社は疲労や心理的負担が蓄積しすぎないよう注意すべきだった」と安全配慮義務違反を認定した。〔共同〕 (18:20)