宿日直勤務は、所定の勤務時間外における火災、盗難防止のための巡回、緊急の文書や電話の収受、又は非常事態に備えて待機しているもので、通常の勤務はほとんど行われないというのが原則で、労働基準監督所の許可(断続的な宿直又は日直勤務許可申請書)を受ければ、所定労働時間外や休日に勤務させても、時間外労働、休日労働とはならないため、割増賃金の対象にもならない。

 

 宿日直勤務として許可されるためには、勤務の内容、一定期間内における宿日直の回数、宿日直手当の額などについて、一定の条件を満たしていなければならない。

 

1.原則として、通常勤務における労働は行わず、定期的な巡視、緊急の文書又は電話の収受、非常事態に備えての待機等を目的とするものであること。

 

2.宿直、日直の回数が原則として、宿直勤務週1回以下、日直勤務月1回以下であること。

 

3.1回の宿日直手当は宿日直勤務が予定されている同種の労働者の1人1日当たり平均の賃金額の3分の1以上であること。

 

4.宿直については、寝具、暖房等相当の睡眠設備を設けること。

 

(昭22.9.13基発第17号、昭63.3.14基発第150号)

 

※宿日直勤務の回数については、例外として、特に規模の小さい事業場などで、満18歳以上のもの全部に宿日直させても、なお宿直週1回、日直月1回の限度を維持できず、かつ、勤務の労働密度が薄い場合には、その宿日直勤務の実態に応じて、週1回を超える宿直や、月1回を超える日直についても許可される場合がある。(昭33.2.13基発第90号)

 

 なお、病院や社会福祉施設については、業務の特殊性から、許可基準の取り扱いの細目が定められており、これらの条件のすべてを満たす場合には許可が与えられることとされている。

 

※病院

1.通常の勤務時間の拘束から完全に開放された後のものであること。すなわち通常の勤務態様が継続している場合は勤務から解放されたとはいえないから、その間は時間外労働として取り扱わなければならないこと。

 

2.夜間に従事する業務は、一般の宿直業務以外には、病室の定時巡回、異常患者の医師への報告、あるいは少数の要注意患者の定時検脈、検温等特殊の措置を必要としない軽度の、又は短時間の業務に限ること。

 

3.夜間に十分睡眠がとれること。

 

※社会福祉施設

1.通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものであること。

 

2.夜間に従事する業務は、一般の宿直業務以外には、少数の入所児・者に対して行う夜尿起こし、おむつ取替え、検温等の介助作業であって、軽度かつ短時間の作業に限ること。

 したがって、夜間における児童の生活指導、起床後の着衣指導等通常の労働と同態様の業務は含まれないこと。

 

3.夜間に十分睡眠がとりうること。