年俸制を採用していても時間外労働や休日労働などをさせた場合は、その時間に応じて、確定している年俸額とは別に割増賃金を支払わなければならない。

 

 年俸制を採用していない場合、割増賃金を計算する場合に賞与は、1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金として割増賃金の算定基礎から除外されるが、年俸制の場合で、年俸の16分の1を毎月の給与として支給し、残りの16分の4を2分割して夏期と冬期に賞与として支給するとしている場合には、定期的に支給されかつその支給額が確定しているものは、名称の如何にかかわらず、これを賞与とみなさない(昭22.9.13基発第17号)として、毎月の給与額を算定基礎とせず、年俸額の12分の1を算定基礎として割増賃金を計算しなければならない。

 

 ただし、年俸額に割増賃金分が含まれることが、賃金規定に明記されており、実際の時間外労働がその割増賃金分以内である場合には、追加の割増賃金を支払う必要は無い。

 

 当然ながら、実際の時間外労働が当初から含まれている割増賃金分を超えた場合には、その差額を追加して支払う必要がある。

 

 したがって、年俸額を月額給与のみ決定し、賞与については半期の業績により変動する場合の賞与は、割増賃金の算定基礎から除外される。