タクシー大手「エムケイ」(京都市)グループの「大阪エムケイ」(大阪市)の元運転手ら10人が25日、「賃金を不当に大幅カットされた」として、同社を相手取り、未払い賃金分など総額約7000万円の支払いを求める訴訟を大阪地裁に起こす。

 正規の時間外手当が支払われないほか、労使協定にない控除で1か月の支給額を「0円」や数千円とされ、労働基準監督署が是正を勧告したケースもあると主張する。

読売新聞:2005年8月25日14時49分

 タクシー運賃の値下げ競争が過熱するなか、元運転手らは「競争のしわ寄せを受けるのは現場」としている。

 訴えなどによると、同社は労使協定にない「その他控除」などの名目で賃金を減額。2003年3月入社の元運転手(45)は昨年6月分の給与で、22日勤務した基本給約12万円に各手当を加え、支給額は約17万円のはずだったが、全額を「その他控除」とされた。翌月も約18万円を支給されるはずだったが、大半が同様に控除され、支給額は9580円だった。

 労働基準法は労使協定にない控除を禁じており、元運転手は同8月、天満労働基準監督署に相談した。同署は控除分の支払いを勧告したが、同社は「10分以上停車していれば、休憩とみなすので、賃金を計算し直すと逆に支給し過ぎ」と、応じなかったという。元運転手は同9月に退職した。

 ほかの元運転手らも「その他控除」で数万円を差し引かれるなどして賃金を減額されたといい、「不明確で、違法な控除」と主張する。請求額は「その他控除」や未払いの時間外手当分など、1人約1000万〜約120万円になる見通し。

 大阪エムケイは「当事者同士で話し合っている途中なので、コメントは差し控えたい」としている。

 タクシー運賃は、価格設定などの規制が緩和された02年2月の改正道路運送法施行後、競争が激化。エムケイグループは同年8月、大阪府内に初乗りを最も安い2キロ500円で参入した。