過労で倒れた夫の労災を申請しようとした際に、労働基準監督署の職員から「仕事が忙しくなるから、もう来るな」などと言われたため、精神的苦痛を受けたとして、和歌山県太地町、上田裕子さん(55)が、国と新宮労働基準監督署の職員(当時)を相手取り、慰謝料など約580万円の支払いを求めた訴訟の判決が20日、和歌山地裁であった。

読売新聞:2005年9月21日0時0分

村岡寛裁判長は「職員の言動や対応に問題があった」として、国に約58万円の支払いを命じた。

 判決によると、上田さんの夫・善顕さんは、同県那智勝浦町のホテルに料理長として勤めていた2000年3月、くも膜下出血で重体になった。上田さんは同年7月、労基署を訪れ、労災申請をしようとした。応対した職員は「あんたらみたいな人がいるから忙しくなる」などと突き放した。