厚生労働省所管の特別民間法人「中央労働災害防止協会」(東京都港区)が東京国税局に多額の申告漏れを指摘された問題で、厚労省職員ら延べ632人に対し、執筆の実態がない原稿料3億5700万円が支払われていたことが分かった。

 支払いの対象となった書籍は、116種類に上っていたことも判明した。

読売新聞:2006年4月28日15時56分

 同国税局に「執筆の実態がない」と指摘されたのは、同協会が労働安全に関する書籍を増刷する際に、執筆者に払った原稿料。

 厚労省によると、この原稿料が支払われたのは、1998〜2001年度に増刷された労働衛生の法規やマニュアルに関する書籍で、延べ632人の執筆者については、「外部の識者なども含まれているが、大半が職員とみられる」(同省安全衛生部)という。同省の内規では、原稿料について「400字4000円まで」か、「定価に出版部数をかけた額の10%まで」と定められており、初版時と増刷時について区別していない。

 同部では、増刷時に受け取っていた原稿料について「個別には把握していないが、内規の範囲内で問題はなかった」とし、増刷時の作業についても「一から書き直したわけではないが、数字の変化のチェックなど、一定の作業はしていたようだ」としている。しかし、同部では02年度から、増刷時の原稿料については受け取りを辞退している。