厚生労働省は22日、外国人を雇用している事業主に対し、外国人労働者の人数、名前、国籍などの報告を義務付ける制度を創設する方針を固めた。

 現在は、任意の報告制度しかないうえ、名前などの個人情報は対象外で、外国人の雇用状況を十分把握できていない。新制度では、報告を怠った場合の罰則も設ける考えで、不法就労の防止や社会保険への加入促進が期待される。厚労省は、近く厚労相の諮問機関「労働政策審議会」(会長・菅野和夫明大法科大学院教授)で議論を開始し、来年の通常国会にも雇用対策法などの改正案を提出する。

 政府は、少子高齢化に伴う労働力不足を背景に外国人労働者の受け入れを拡大している。


読売新聞:2006年9月22日14時34分
 現行の「外国人雇用状況報告制度」によると、2005年6月現在、厚労省の公共職業安定所などに報告された外国人労働者は約34万人、外国人を雇っている事業所数は3万弱で、いずれも増加傾向にある。出身地域別では、東アジアが約43%とトップで、中南米の約30%が続く。

 ただ、法務省によると、05年末現在の外国人登録者は201万1555人で、このうち、在留資格などから、就労者(不法就労も含む)は約80万人と推計されており、厚労省への報告との落差は大きい。

 現行制度は、報告が任意のうえ、対象も原則として従業員50人以上の事業所に限定している。外国人労働者の基本的なデータを把握できていないため、「日本は入国審査は厳しくても、国内に入ると監視が甘い」との指摘が出ていた。