問題となったのは、「ジャスト・イン・タイム方式」(JIT方式)と呼ばれる生産システムで、トヨタが先駆けて導入した「かんばん方式」ともいわれるもので、「必要な物を、必要な時に、必要な量を生産する」の意味で、製造ラインでの完成品の数に応じて受注に必要な部品を作り、在庫を極力減らす仕組みだ。需要変動に対応した効率性の高い生産手法とされ、多くの家電、自動車メーカーなどが採り入れている。

 ダイキン工業(大阪市)の堺製作所に昨年9月、大阪労働局の調査が入り、作業の進み具合を示す「生産管理板」について問いただされた。管理板には当日の計画台数に加え、現時点の予定生産台数や実績台数などが表示されているが、「請負労働者に作業スピードを指示しているのと同じ」と是正指導を受けた。

 労働者派遣法は、請負会社側が自己の労働者を直接指揮・監督し、生産の順序や勤務時間などを自ら決定しなければならないと規定。請負労働者を使ったJIT方式は「偽装請負」の疑いが濃いという。同労働局幹部は「JIT方式自体を否定したわけではない。あくまでも法令順守を求めただけ」と説明。同じ理由で労働局の是正指導を受けた企業は、ほかにも複数あるとみられる。

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