みやぎ仙南農協(宮城県柴田町、浅野清組合長)の男性職員=当時(29)=が2006年6月、長時間の時間外労働で過労死した事件で、大河原労働基準監督署は労働基準法違反容疑で、法人としての農協と管理職数人を18日にも書類送検する方針を固めた。同農協では、06年に計5000万円以上の残業代が不払いとなっていることも判明、関係者は「不払い残業が常態化しており、長年にわたる違法行為の繰り返しが過労死を招いた」と指摘している。

 同農協によると、過労死したのは、村田地区本部営農経済センター(村田町)で営農指導や農産物の集出荷を担当していた男性職員。06年6月30日、自宅で亡くなっているのが見つかり、死因は急性循環器不全だった。男性職員のこの月の時間外労働は147時間に上り、約1カ月間休日なしで勤務していた。

 大河原労基署の調査で、07年2月に労災認定を受けた。農協は責任を認め、遺族に和解金四千数百万円を支払うことで合意した。

 また、労基署の指導で同農協が全職員を対象に06年分の労働時間の実態調査をしたところ、職員約480人に対し、総額5000万―6000万円の残業代が未払いとなっていたことが判明した。

 農協は再発防止のため、(1)残業は原則午後8時までとする(2)残業する際は上司の許可制とし、総務部の人事統括部門へも報告をする―などのルールをまとめ、07年1月から実施。今年4月からは、コンプライアンス関係の専門部署として、「総合リスク対策室」を設置することも決めた。

河北新報ニュース