2007年にマツダの男性社員=当時(25)=が自殺したのは過労でうつ病を発症したためだとして、兵庫県に住む両親が同社に約1億1000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、神戸地裁姫路支部であった。中村隆次裁判長は「過重な労働実態を認識できたのに、適切なフォローを怠った」として、同社に約6300万円の支払いを命じた。

判決は、男性が06年11月以降に担当した業務について、上司の手助けがなく明らかに過剰だったと判断。07年2月から3月にかけ、男性が退職をほのめかし、悩んでいる様子だったことなどから「うつ病は重症化しており、自殺は業務に起因していた」と認定した。

また、男性の葬儀で上司らが笑い話をしていたことなどについて、「原告は二重に精神的苦痛を被った」として慰謝料を認めた。

判決によると、男性は04年に入社。取引先の海外企業とトラブルがあり、上司から「もっと勉強しろ」などと叱責されていた。男性は07年4月に社宅で自殺。時間外労働は月80時間を超えていたとみられる。