年金給付で便宜を図った見返りに女性2人から現金を受け取ったとして、収賄罪などに問われた元社会保険庁職員の坪内金博被告(54)の裁判で、松山地裁は15日、懲役1年、追徴金99万4千円(求刑懲役2年、追徴金99万4千円)の判決を言い渡した。

 村越一浩裁判長は判決理由で「古物収集でできた自分の借金のため、宙に浮いた年金問題で請求に来た者の弱みに付け込んでおり、悪質だ」と指摘した。

 判決によると、同庁の地方組織の愛媛社会保険事務局職員だった平成20年、女性2人に年金が優先的に給付されるよう取り計らい、謝礼として計99万4千円を受領。さらに同庁が日本年金機構に移行した23年にかけ、厚生年金被保険者の個人情報を漏らした。同機構は昨年12月、坪内被告を懲戒解雇した。