愛知県が緊急雇用対策として10年度に実施した「観光地域づくり人材育成事業」で、雇用した6人のうち、研修修了者が1人しかいなかったことが14日分かった。関係者によると、中途退職した5人の中には「観光に役立つ人材を育てると説明されたのに、トイレ掃除や駐車場の誘導をやらされた」と不満を述べた人が複数いたという。県観光コンベンション課は「見解の相違だと思うが、誤解を招いたとしたら申し訳ない」と釈明している。

 同事業は「観光を担う地域のリーダーを育成する」とうたい、昨年6月〜今年3月に実施。ハローワークなどで参加者を募った。予算は約2970万円。県観光協会に委託し、県の産業、歴史などを学ぶ講義研修35日間と、同協会や旅行会社、ホテルなどで観光業務を体験する実技研修56日間で構成された。

 参加者には研修中、月給二十数万円が支払われた。トイレ掃除などは実技研修の一環だったが、昨年11、12月に各1人、今年1月に2人、2月に1人が中途退職し、研修を終えたのは1人だった。

 同課は「観光業務の実態を知る意味で意義がある事業だったと思う。トイレ掃除などに不満な人がいたのは事実だが、どんな業務でもやり遂げてほしかった」と話している。【三木幸治】