東京都多摩市の高齢者世話付き住宅で生活協力員をしていた同市の男性(57)が、雇用契約を結んでいた社会福祉法人に残業代など約1,300万円の支払いを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁の大橋寛明裁判長は12日、請求棄却の一審東京地裁八王子支部判決を変更、労働基準法上の労働者に当たるとして、約40万円の支払いを命じた。

高齢者世話付き住宅は、国のシルバーハウジング事業に基づいて各自治体が設置。男性の代理人弁護士は「生活協力員を労働者と認めた判決は初めて。同様の住宅で働く人たちへの影響は大きい」と話している。

判決は、住み込みで高齢者の安否確認や緊急時の対応などをしていた男性の業務内容を検討し、労働者と認定。労基法が定める1日8時間の労働時間を超える8時間半の勤務で契約しており、請求権が残る2005年以降の残業代を認めた。

社会福祉法人に業務を委託していた多摩市が時間外賃金の規定を設けておらず、大橋裁判長は「制度設計で労基法の検討が不十分だった」と指摘した。

(共同通信)
5月12日