SHOP99訴訟165万支払い命令地裁立川支部
 
 店長というだけで管理職とみなし残業代を支払わないのは違法だとして、コンビニ店「SHOP99」で店長を務めていた男性が、店を展開する「九九プラス」(本社・新宿区)を相手取り、未払い残業代など約450万円の支払いを求めた訴訟の判決が31日、地裁立川支部であり、飯塚宏裁判長は約165万円の支払いを命じた。

 判決によると、元店長だった清水文美さん(31)は2006年9月に入社し、07年6月から店長になった。以降、会社からは、残業代の支払い対象ではない労働基準法上の「管理監督者」として扱われ、月給も5万円近く落ち込んだ。またアルバイト従業員の不在時には自ら勤務の穴埋めをしており、長時間労働がたたって体調を崩し、同年10月には休職を余儀なくされた。

 口頭弁論で原告側は「本社からの指示で店舗の運営をしていただけ」「労働時間に関する自由裁量もなかった」と述べ、店長とは名ばかりで、管理監督者ではなかったと主張した。

 被告側は「アルバイト従業員の採用や労働時間を決定するなど指揮・監督をしていた」「店舗では商品の発注や値引きなどをしており、その権限も大きかった」などと述べ、原告は管理監督者だったと訴えていた。

 この日の判決で飯塚裁判長は「店長(原告)にはアルバイト従業員の時給決定権がなく人事権は狭かった。返品商品はバイヤーの決済が必要で、取扱商品については決定に権限がないなど、店舗内ですら十分な権限があったとは言い難い」と認定。職務内容や権限などから、「原告は管理監督者にはあたらない」と結論づけた。

 さらに長時間労働の末、体調を崩した点についても、判決は言及。飯塚裁判長は「深夜まで勤務した日が散見しており、正常な生活リズムに支障を生じさせて疲労を増幅させた」として因果関係も認め、「長時間労働を是正するための有効な措置を講じなかった」として、安全配慮義務違反による慰謝料100万円の支払いも命じた。