名古屋市の仲卸会社「加野青果」の女性社員=当時(21)=が2012年に自殺したのは、職場でのいじめによるうつ病が原因として、遺族が同社などに約6400万円を求めた訴訟の控訴審判決で名古屋高裁は30日、賠償額を165万円とした一審名古屋地裁判決を変更し、約5500万円の支払いを命じた。

 一審判決はいじめを認定する一方、うつ病発症や自殺との因果関係は否定したが、永野圧彦裁判長は判決理由で「女性は自殺直前に食欲や集中力が減少するなどしており、うつ病を発症していたと認められる」と指摘。

 会社の責任については、いじめを制止せず、女性の業務も見直さなかったとし「注意義務違反であり、自殺と因果関係がある」と判断した。

判決によると、女性は09年4月に入社。12年春に配置転換され、新しい業務になって以降、先輩の女性社員2人から「何度言ったら分かるの」などと繰り返し、叱責されるようになり、同年6月に自殺した。
(共同通信社)