新潟市民病院で2015年4月〜17年3月の2年間に勤務していた職員が時間外労働を申告せず、未払いとなっていた賃金が少なくとも1億868万円に上ることが6日、分かった。職員数は91人で、ほとんどが医師。申告されなかった労働時間は計1万7406時間に上った。病院は、市議会6月定例会で補正予算案が可決され次第、支払い手続きに入る方針。

 新潟市民病院では、勤務していた女性医師が自殺し、過労が原因だとして17年5月に労災認定。同年6月に新潟労働基準監督署が長時間労働の是正勧告をした。勧告を受け、病院が行った労働時間の実態調査で判明した。

 病院は、職員の自己申告を基に時間外労働を算出している。今回の調査では、過少に申告していた時間外労働の約2倍が認められたケースもあり、1人分の未払い額は最大で約600万円だった。病院は、労働時間外に行ったカルテの入力時間を申告していなかったことなどが原因としている。

 今回の調査対象は、17年4月以降も勤務を続ける1197人(うち医師90人)。既に退職した約400人分の調査は終わっておらず、未払い分がさらに増える可能性がある。